第18回本格ミステリ大賞が決定 今村昌弘さん『屍人荘の殺人』が受賞

文学賞・賞

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 第18回本格ミステリ大賞の公開開票式が11日、東京都内にて行われ、小説部門の大賞に今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』(東京創元社)が選出された。

『屍人荘の殺人』は、2017年末に発表された「このミステリーがすごい!2018年版」「週間文春ミステリーベスト10」「2018本格ミステリ・ベスト10」の全てで1位を獲得するという快挙を成し遂げた話題の一作。映画研究会の夏合宿に参加したメンバーが次々と殺されていくミステリー作品で、同作は孤島や雪山の山荘など隔絶された場所で起こる事件を扱ういわゆる「クローズド・サークルもの」となっている。ミステリ界ではネタは出尽くしたかと思われていたパターンでありながら、新しいクローズド・サークルを生み出したと高い評価を受けている。

 コラムニストの香山二三郎さんは、「本格ミステリーではお馴染みの密室談義に加え、(中略)ロジカルな謎解き推理とパニックホラーの妙を見事に両立させてみせた」(週刊新潮・書評欄)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/541460

 今村昌弘さんは1985年長崎県生まれ。兵庫県在住。岡山大学卒。2017年に『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。

 評論・研究部門は、飯城勇三さんの『本格ミステリ戯作三昧』(南雲堂)が受賞した。

 本格ミステリ大賞は、本格ミステリ作家クラブが主催する賞。小説部門と評論・研究部門にわかれており、本格ミステリというジャンルの発展に貢献した作品を選び表彰される。毎年単行本化された作品の中から、同クラブの会員の投票で5作品を選出したのち、全ての作品を読んだ会員が投票を行い大賞を決定する。

 昨年は、IQ208の天才少年囲碁棋士が「いろは歌」を使った謎に挑む暗号ミステリを描いた竹本健治さんの『涙香迷宮』が受賞。過去には小説部門で東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』(第6回)、人気グループ「嵐」の相葉雅紀主演のドラマ「貴族探偵」の作者・麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女』(第11回)、評論・研究部門では北村薫さんの『ニッポン硬貨の謎』(第6回)、飯城勇三さんの『エラリー・クイーン論』(第11回)などが大賞に輝いている。

 第18回の候補作品は以下のとおり。

【小説部門】候補作
『屍人荘の殺人』今村昌弘[著]東京創元社
『いくさの底』古処誠二[著]KADOKAWA
『マツリカ・マトリョシカ』相沢沙呼[著]KADOKAWA
『彼女の色に届くまで』似鳥鶏[著]KADOKAWA
『ミステリークロック』貴志祐介[著]KADOKAWA

【評論・研究部門】候補作
『本格ミステリ戯作三昧』飯城勇三[著]南雲堂
『【「新青年」版】黒死館殺人事件』小栗虫太郎/山口雄也[註・校異・解題]作品社
『江戸川乱歩と横溝正史』中川右介[著]集英社
『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』内田隆三[著]講談社選書メチエ
『ミステリ国の人々』有栖川有栖[著]日本経済新聞出版社

Book Bang編集部
2018年5月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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