稲垣吾郎司会の読書バラエティに芥川・直木賞受賞者が勢揃い[ゴロウ・デラックス]

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TBS「ゴロウ・デラックス」公式サイトより

 稲垣吾郎さん(45)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」(TBS系)に15日、第160回芥川賞を受賞した町屋良平さんと上田岳弘さん、直木賞を受賞した真藤順丈さんが出演した。3人は作品の裏話とお互いの作品に対する感想を語った。

■勝てないボクサーを描いた青春小説

 町屋さんの受賞作『1R1分34秒』(新潮社)はボクシングが題材。町屋さんはボクシングに打ち込んだ過去があり、「小説を書くというのは現実でも逸脱した部分に手を伸ばさないといけない部分が来る。足場があったから手を伸ばしやすくなったというのはあった」と自身の経験が「足場」となったことを明かした。また風呂場で執筆していることや、同作がスマートフォンを使い2週間ほどで書き上げられたことも語られた。

 同作について稲垣さんは「臨場感がすごかったですね」と評価。選考委員の奥泉光さんからも「筆の迫力。言葉の力があった」と評価されている。同時受賞の上田さんは「初っ端のところが好きです」とコメント。対戦前に相手のビデオをみているうちに気分的に「親友」になってしまうという主人公の心理が「脱臼する感じ」と語り、予想を裏切られるはじまり方が「うまいなあ」と感想を述べた。

■新時代の仮想通貨小説

 上田さんの受賞作『ニムロッド』(講談社)はビットコインが題材。IT企業でビットコインを扱う会社員が主人公。心に傷を抱えた恋人やうつ病を抱え小説家の夢を諦めた元同僚との交流を描く。「ビットコイン」や「ダメな飛行機コレクション」などをモチーフとし、効率化された社会と人の存在について考察した作品。上田さんは2つのモチーフがどう繋がるか「僕もわからなかった。書きながら探っていく感じ」と執筆時の苦労を語った。

 直木賞受賞者の真藤さんは同作について「誰も見たことのない誰も読んだことのない世界を模索している感じ。それは僕たちエンタメ作家も他の人が書いていないものを探していくところがあるから。こういう組み合わせはすごく斬新」と評価した。選考委員の奥泉光さんも完成度の高さを評価。モチーフを「うまく組み合わせることによって一つの小説世界を編み上げた。その手際が高く評価された」とコメントしている。

 稲垣さんは登場人物たちの関係に注目し、「何かいいよね3人の距離感が。切ないんだよね」と悲哀に満ちた作品世界に共感をあらわした。

「ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58に放送中。次回は2月21日。「第160回芥川賞・直木賞受賞者が揃って登場SP!【後編】」。引き続き上田岳弘さん、町屋良平さん、真藤順丈さんがゲスト。公式サイトでは予告動画を配信中。
http://www.tbs.co.jp/goro-dx/

Book Bang編集部
2019年2月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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