【話題の本】『カラー版 名画を見る眼Ⅰ』高階秀爾著

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■不朽のロングセラーが刷新

昭和44年刊行の新書『名画を見る眼』が半世紀以上の時を経て、カラー版になった。油彩画技法を完成させた北方ルネサンスの画家、ファン・アイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」からマネの「オランピア」まで15点を取り上げ、隠された意図などを読み解いてゆく。

絵を漫然と眺めるのではなく、理解を深めるための手引書として愛され、旧版は印象派以降を扱った続編『続 名画を見る眼』と合わせ累計82万部のロングセラー。満を持して刷新されたカラー版「I」も現在2刷2万5000部と好調で、続編もカラー版「Ⅱ」として20日に発売予定だ。

版を重ねて劣化も目立ったモノクロ図版が、一気にカラー化されたインパクトは大きい。「長く読み継がれ、今も古びない、色あせない美術史入門。新しい本を作ることも大事ですが、この本は美しい版面でさらに多くの読者に届けたい、その価値があると考えた」と岩波書店の担当編集者。「教科書がオールカラーの若い世代にも、岩波新書の財産を読んでいただければありがたいです」

学生時代にこの本に影響を受け、いま第一線で活躍する美術史家や学芸員は多い。西洋美術の奥深さを教えてくれる不朽の名著。(岩波新書・1364円)

黒沢綾子

産経新聞
2023年6月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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