介護問題がエンタメになる?! 林真理子最新長編を中江有里が紹介

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 4月12日放送のNHK総合「ひるまえほっと」に女優で作家・書評家の中江有里さん(43)が出演し、月に1度の「ブックレビュー」コーナーで3冊の本を紹介した。

 この日中江さんが紹介したのは、新年度にふさわしい以下の3冊。

『我らがパラダイス』林真理子[著](毎日新聞出版)
『読書と日本人』津野海太郎[著](岩波書店)
『野菜』細川亜衣[著](リトル・モア)

■介護問題がエンタメに?

『我らがパラダイス』は東京広尾の高級介護付きマンションで働く3人の女性が主人公。それぞれ深刻な介護問題を抱える3人の女性たちは、裕福な入居者たちを前に、自分たちの親だって一生懸命真面目に生きてきたのにこの格差はなんなんだと悩む。そしてある悪巧みを思いつき、一世一代の大勝負に出る。その結末とは? 介護問題をユーモアを交えて描いたエンターテインメント長編小説。

 中江さんは「優しい人が損をするのが介護の問題」と語り、彼女たちの陥る切実な問題に共感しつつも、悪巧みの末「とんでもない事が起こる。奇想天外。先が読めない」とエンタメとしての面白さを絶賛。シビアな問題を扱いつつも面白いエンタメとして成立している「非常に現代的な小説です」と解説した。

■活字離れは起こっていない

『読書と日本人』は「読書」はいつ生まれどのように変化してきたのか、編集者として長年読書と向き合い続けた著者が1000年にわたる日本の読書史をわかりやすく解説した一冊。

 中江さんは「食べることや寝ることには理由があるが、読書はなくても生きてゆける。それでも読書が続いているということは、必要とする何かがある」と考え、同書を手に取ったという。

 平安中期からはじまったと考えられる日本の読書の歴史は、識字率の向上や印刷技術の発展を経て、誰もが手軽に本を手に取ることができる時代を迎える。その後何度かの読書ブームを経て、現在は活字離れの時代といわれる。

 しかし中江さんは「スマホでも活字に触れている」と読書のかたちが変わっているだけで、実際には皆活字から離れてはいないとコメント。「この先も読書は廃れることはないだろうと思う。1000年前から変わらずに続いてるこのスタイルというものには、やっぱり意味があるわけですよ」と読書が続いてゆく理由を同書から見出していた。

 また本を手に取る前、問題意識を持ち本を選ぶところから読書は始まっており、読んだ後も語り合うことで読書は続いている、と読書の楽しみは読んでいるときだけではないことを強調した。

■旬の野菜を簡単に美味しく

『野菜』は旬の野菜50種を題材にそれぞれがもつ味や香りや食感、彩りを活かしたレシピを写真とともに紹介。料理についてのエピソードも綴られた一冊。

 中江さんは「なにより写真が美しい」と感想を述べながら、脇役になりがちな野菜をメインとして扱ったレシピを同書のなかから紹介した。潔く野菜1種だけを使いながらも美味しそうなレシピに「たくさんの野菜を使わなきゃいけない」という「プレッシャーもなく、これなら作れそう」と笑った。また作成過程の写真も綺麗で「料理は途中でも美しいんだと、はっとさせられる」と語った。

 番組キャスターで野菜ソムリエの資格をもつ武内陶子アナウンサー(51)も「旬の野菜は本当にエネルギーがある。畑から採ってきて、そのものを食べるっていうのは本当にいいことだなと思います」と同書のコンセプトに共感していた。

ひるまえほっと」はNHK総合で月曜から金曜11:05からの放送。「ブックレビュー」コーナーは月に1度放送される。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年4月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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