【話題の本】『放課後ミステリクラブ　１金魚の泳ぐプール事件』知念実希人作、Ｇｒｉｎ．絵

■子供と読書つなぐミステリー

毎年のように本屋大賞にノミネートされている人気小説家が、初めて書いた児童書ミステリーシリーズ。

夜の小学校でプールに数十匹の金魚が放たれた。誰が？何のために？　担任の真理子先生からの依頼で、４年１組の「ミステリトリオ」こと辻堂天馬・神山美鈴・柚木陸が動き出す…。殺人事件はないが、トリックは本格的で、「人生初の〝伏線回収〟を子どもたちへ」のコンセプト通り、謎解きの快感を味わえる。

版元の大塚啓志郎社長によれば、「子供たちに本を好きになってほしい」と願う作者が大人のミステリーと同じ手法で執筆。書店向けのプルーフ（試し読み本）が重版となる注目ぶりで、「大人もミステリーの面白さを思い出す作品」の反響も。

６月末に初版１万３５００部で発売され、即重版に。子供から「犯人が分からなかった。悔しい。次はリベンジします」、親からは「漫画しか読まない小４の息子が夢中になって読破した」などの声が届いている。

「作者の本気が伝わり、子供と読書の橋渡しになれていると実感。親子共通の話題としても楽しめます」と大塚社長。３巻まで刊行が決まっており、待望する子供たちの声が聞こえそうだ。（ライツ社・１２１０円）

三保谷浩輝