【産経の本】『我々はポツダム宣言受諾を拒否する 上野・厚木・満州の反乱』岡村青著

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■昭和20年8月、彼らは何を肯んじなかったか

昭和20年8月15日、日本は連合国が発したポツダム宣言の受諾を公表し、無条件降伏した。本書はポツダム宣言の受け入れをよしとせず、決起に至った人々を描く。

「陸軍水戸教導航空通信師団」「海軍第三〇二航空隊」「満州国務院総務庁」にまつわる3つの反乱事件をとりあげ、発生から収束にいたる経緯、背景などがつづられる。

現代の日本人にとって「軍の反乱」という事態はなかなか想像がつかない。例えば「上野事件」と呼ばれる水戸教導航空通信師団の反乱は、東京・上野の東京美術学校(現東京芸術大学)に完全武装した約400人の将兵が立て籠もり、自決などで9人の犠牲者が出た。

戦後日本の道すじを決めた「憂鬱な条文」、その受け入れを覆すことはもはや不可能であったが、3つの事件はあえてその運命にあらがい、起死回生に挑もうとしたといえる。

それぞれ祖国を守るためと信じ、徹底抗戦を唱えて戦ったが、その志を遂げられなかった男たちの心境とはいかなるものだったのか。渦中にいて事件の顛末(てんまつ)をつぶさに知る体験者の証言をもとに、事件の動機や要因、結末などについて読みやすくまとめている。(産経NF文庫・980円)

産経新聞
2023年7月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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