エロはある。
[レビュアー] 図書新聞
昭和の性文化シリーズ第五弾。『ズームアップ』(セルフ出版、後の白夜書房)など数々のエロ本を編集した池田俊秀(一九四八~九七)。そんな彼が、雑誌『ギャルズD』に連載していた自伝的エッセイを文庫化。破天荒な、そしてどこか涅槃の境地のようなエロ本編集の日々が描かれる。「エロ本といえど世俗の周辺文化(サブカルチャー)を情報伝達するメディアであり、あらゆるメディアは人の欲望を〈イメージ〉として映し出す」。エロはある。あるものをないものにすると社会は歪む。そのもっとも分かりやすいメディアがエロ本ではないか。カラー口絵には『ズームアップ』全号表紙と女優名(終刊はヒカシュー)が紹介されている。しかし一九七九年三月号は「不明」とある。この女優は誰なのか? 鈴木義昭責任編集。(8・1刊、三六〇頁・本体九〇〇円・人間社文庫)