【児童書】『ソラタとヒナタ ともだちのつくりかた』

レビュー

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【児童書】『ソラタとヒナタ ともだちのつくりかた』

[レビュアー] 三保谷浩輝

 ■ピュアな友情描き、勇気も

 自分の住んでいた森を離れ、新しい森にたどり着いたくまのソラタ。大きく、深い穴を見つけてのぞき込むと、穴の底で何かがキラリと光った。〈きれいなきつねの目でした〉

 きつねは名前もなく、生まれた日も知らず、家族や友達もいないが、「ひとりでいるほうが、きらくだし」とつよがり。そんなきつねをやさしいソラタはヒナタと名づけ、誕生日も決める。ある日、ソラタの家にやってきたヒナタがもじもじしながらいう。

 「あのさ……ともだちって、どうやってつくればいいの?」

 「むずかしくなんかないよ」とソラタが教えた方法は-。『はりねずみのルーチカ』作者の新シリーズ。すべての見開きページに入った版画の挿絵も魅力的で「一番ピュアな友情の形」「ちょっとせつなくて、あったかくて、すごく好き」などと書店でも好評。

 新年度、新しい環境、出会いに戸惑う子供たちに勇気を与えてくれそう。胸にストンと落ちるストーリーは大人も満足するはずだ。(かんのゆうこ作、くまあやこ絵/講談社・1300円+税)

 三保谷浩輝

産経新聞
2018年4月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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