『どうぞ愛をお叫びください』
書籍情報:openBD
【『どうぞ愛をお叫びください』刊行記念対談】ナポリの男たち×武田綾乃/ゲーム実況への愛をお叫びください!
[文] 新潮社
ゲーム実況者グループ「ナポリの男たち」が制作の裏側を語る
武田綾乃
「響け! ユーフォニアム」シリーズなどで知られる武田綾乃さんの新刊、『どうぞ愛をお叫びください』は、男子高校生4人がYouTuberデビューを果たし、「ゲーム実況」動画の配信に試行錯誤しながら挑戦する、今っぽさ溢れる爽快な青春小説だ。
その発売を機に、普段からゲーム実況動画を楽しんでいるという武田さんと、先日、結成4周年を迎えたゲーム実況者グループ「ナポリの男たち」のリモート対談が実現!
「ナポリの男たち」は、2016年にジャック・オ・蘭たん、すぎる、hacchi、shu3の4人によって結成された人気ゲーム実況者グループだ。
そんな4人から見た『どうぞ愛をお叫びください』とゲーム実況の魅力、そしてその内幕とは……?
内容がすごくリアル
武田 今日はお時間をとっていただきありがとうございます。実は皆さんの活動をずっと拝見しているので、今回こうしてお話しできることにとても緊張しています。
蘭たん こちらこそ、お声がけいただいてありがとうございます。今日はよろしくお願いします。
武田 早速なんですが、そもそも、なぜ今回のオファーを受けていただけたのでしょうか。編集者から「この小説について実際のゲーム実況者の方と対談してみませんか」と言われて、ナポリの男たちさんのお名前を挙げさせていただいたのですが、お忙しいだろうし、ひょっとしたらこういうお願い自体も失礼なのかも、とも思って。なので、受けていただけてとても嬉しかったのと同時に、「本当にいいんですか!?」という驚嘆もありました。
蘭たん 先に小説を読ませていただいたんですけど、書かれている内容がすごくリアルだったので、「こんなにゲーム実況にお詳しい人なら、お話しできることもたくさんあるだろうな」と思ったのが一番大きいです。
武田 よかったです! 実際に活躍されている方からそう言っていただけて、ものすごくホッとしました。
すぎる 本当に、読んで感動しました。最後のほうの展開がまたよくて。
hacchi 読み始める前は、ゲーム実況をどうやって小説化するんだろうって思ってたんですけど、編集の描写がすごくリアルで驚きました。「実際にされてるわけじゃないのに、なんでこんなことがわかるんだろう」っていう表現があちこちにあって。
shu3 感情を揺さぶられましたね。中でも、動画の編集担当でもある主人公の松尾君がすごかったです。ここまでいろんなことを考えて1週間かけて編集するとか、高校生でできる人はなかなかいないと思う。
蘭たん 僕も松尾君、印象に残りました。言っていることがどれも外れてないよね。「実況動画をやりたい、それで有名になりたい」っていう人がいたら、まずは松尾君の真似すればいいんじゃないかってくらい(笑)。
hacchi 彼らの動画が伸びるという展開は最初から考えられていたんでしょうか。
武田 そうですね。エンタメ小説としては、こういう展開がいいかな、と。
あと、「グレイテスト・ショーマン」という好きな映画があって、サーカス創業者のお話なのですが、冒頭に成功を収めるシーンが流れるんです。視聴者は初めから「この人たちはこのあと成功する」とわかった状態で見始めるんですが、そうするとストレスなく安心して楽しめるんだろうなと思いまして。今作はその構成を参考にして、主人公たちはひとまず成功する、とわかる記述をわざと先に提示しています。
hacchi 最初のページにある「どうぞ愛をお叫びください」(※)についての説明の記述ですね。同じ実況者としては正直、結成3か月足らずで300万再生という数字を目にして、「凄まじすぎるぞそれは!」とダメージを喰らうところもありましたが(笑)。
※「どうぞ愛をお叫びください」……作中で4人が組む実況グループ名。そのまま本のタイトルにもなっている。
蘭たん まあそこは小説だから(笑)。でも動画投稿の世界だとありえないことでもないよね。