【気になる!】文庫『追憶映画館 テアトル茜橋の奇跡』
[レビュアー] 産経新聞社
東京のはずれにある街・茜橋には、約30年前に火事で閉館した映画館・テアトル茜橋が朽ち果てた姿で残っていた。同館経営者の娘で、今はアメリカで会社を経営している映美(えみ)は、ある目的のため二十数年ぶりに帰国し、茜橋を訪れる。
「ローマの休日」「レオン」「小さな恋のメロディ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などの名作映画をモチーフに親子、夫婦、親友、飼い主とペットなどの交錯する思いを描く連作短編集。脚本家の著者が「映画館で映画を観(み)る」喜びにこだわり、紡いだ物語の数々。郷愁と希望に満ち、グッとくる。(伴一彦著、PHP文芸文庫・700円+税)