「一人称の幸せ」には限界がある。死ぬ前に悔いを残さない4つの条件

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もしあと1年で人生が終わるとしたら?

『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』

著者
小澤竹俊 [著]
出版社
アスコム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784776211372
発売日
2021/03/23
価格
1,320円(税込)

書籍情報:openBD

「一人称の幸せ」には限界がある。死ぬ前に悔いを残さない4つの条件

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

もしあと1年で人生が終わるとしたら?』(小澤竹俊 著、アスコム)とはインパクトのあるタイトルですが、こうした問いかけをしていることには理由があるようです。それは、人生に締め切りを設けることで、「なにがやりたいか」「なにが大切なのか」が明確になるという思い。

著者は25年間にわたり、人生の最終段階の医療に携わってきたホスピス医。3500人以上の患者さんを看取ってきた結果、気づいたことがあるのだといいます。

「死」を前にすると、人は必ず自分の人生を振り返るということ。そして誇れること、後悔していることなどを少しずつ整理し、最終的には多くの方が「よい人生だった」と納得し、穏やかに旅立たれるのだとか。

著者がそういった方々と時間を共有しながら考え続けてきたのは、「後悔のない人生とはなにか」「よい人生とはなにか」ということ。

人それぞれ、さまざまな違いがあるだけに、すべての人に共通する定義のようなものはないのかもしれません。しかし、それでも人生の最後に悔いを残さないために必要な条件を挙げるとするなら、次の4つになるだろうと考えているそうです。

・自分で自分を否定しないこと

・いくつになっても新しい一歩を踏み出すこと

・家族や大切な人に、心からの愛情を示すこと

・今日一日を大切に過ごすこと

(「はじめに」より)

だからこそ大切なのは、人生の意味を改めて考えること。それは「自分にとって本当に大切なもの」に気づくことであり、それこそが、私たちの人生に意味を与えてくれる。著者はそう考えているのです。

そうした考え方に基づいて書かれた本書は、2017年1月に刊行された『2800人を看取った医師が教える人生の意味が見つかるノート』を大幅に加筆・再編集したもの。

きょうはCHAPTER 3「仕事や夢、目標について」のなかから、「いままでの仕事や働き方に満足していますか?」というトピックをクローズアップしてみたいと思います。

一人称の幸せには限界がある

著者は子どものころ、「医者にだけはなりたくない」と思っていたのだそうです。人に注射針を刺すことに抵抗があったという子どもらしい理由もさることながら、看護師の資格を持ち、我が子を医者にしたがっていた母親への反抗心もあったかもしれないと、その理由を振り返っています。

そんな気持ちが変わるきっかけになったのは、高校生時代に「幸せとはなにか」について真剣に考え始めたこと。

さまざまな本を読み、自分なりに「どうしたら人は幸せに生きられるのか」と思いを巡らせた結果、

「お金を手に入れたり、有名になったりすることによって、自分一人が幸せになるという『一人称の幸せ』には限界があるのではないか

「自分がいることによって誰かが喜んでくれたときに、本当に幸せになれるのではないか」

との結論に至ったというのです。そして、そのうえで「どんな仕事なら、本当の意味で幸せになれるのか」をさらに考え、そこから「人の命に関わることができれば、最も大きな喜びを得られるのではないか」という答えを導き出したということ。

そこで、そう思い至った高校2年生の秋から、注射への抵抗感も母親への反抗心も捨て、医師になるための勉強を始めたのだそうです。

それからおよそ40年の歳月が経ったものの、当時導き出した「本当の幸せとはなにか」という問いに対する答えは間違っていなかったという実感があり、いまでも「一人称の幸せには限界がある」という思いを持ち続けているといいます。そしてそれは、本書の核心部分にもなっています。(97ページより)

一人称の幸せを卒業したら…

ずっとがむしゃらに働いてきた人が、病気や怪我、仕事上のアクシデントなどをきっかけとして、「この仕事を続けていていいのだろうか」「自分の働き方は、本当に正しかったのだろうか」と思い悩むようになることは少なくないはず。

あるいは、「やりたい仕事ではないけれど、給料がもらえればいい」と思っていた人が、「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」と考えたとき、自分のそれまでの仕事や働き方に疑問を持つことだってあるかもしれません。

元気なときや物事がうまくいっているとき、人は「一人称の幸せ」「目に見える幸せ」「わかりやすい幸せ」などにとらわれてしまいがち。目先の華々しさを幸せだと錯覚し、それらを追い求めてしまうわけです。

しかし、そこで得られる幸せには限界があると著者は指摘しています。

一人称の幸せは、多くの人と分かち合うことができません。また、お金でも地位でも名誉でも、なにかを手に入れると、必ず「失う恐怖」がつきまとうもの。そればかりか、一人称の幸せは他者との奪い合いになることが多いものでもあります。

常に人と競争したり、誰かと自分を比較して優越感に浸ったり落ち込んだりすることになってしまうので、心に平和が訪れることはないのです。

そればかりか、体の自由が効かなくなったり、人生の終わりが近づいたりしたとき、一人称の幸せはなんの意味も持たなくなるものでもあります。お金も地位も名誉も体調を和らげてはくれず、あの世に持っていくこともできないからです。

でも、一人称の幸せを卒業すれば、より大きく安定した幸せを感じることができるようになります。

人の幸せや人の喜びを、自分の幸せと感じることができれば、幸せな人、喜んでいる人の数だけ、どんどん自分の幸せの数が増えていくからです。

一人称の幸せのように、「自分の元から去ってしまうのではないか」という恐怖に襲われることも、人と奪い合うことも、人と比べて一喜一憂することもありません。

たとえ自分が苦しい状況にあっても、人を幸せにすることができれば、あるいは人の喜びを幸せと感じることができれば、それが心の支えになるでしょう。(103ページより)

そして、もしも「いまの働き方でいいのだろうか」「この仕事を続けていていいのだろうか」という疑問が浮かんだときこそ、大きなチャンスなのだと著者はいいます。

そんなときには、自分の仕事や働き方が誰かの喜びにつながっているか、見なおしてみることができるから。そして、そうするべきだからです。

その結果、誰かの喜びにつながっていると感じられたなら、自信を持って、また新たな気持ちで仕事に取り組めるはずです。

また、現時点で、仕事を通して一人称の幸せしか得ていないことがわかったのであれば、「働き方や仕事の内容をどのように変えていけば、誰かの喜びにつなげることができるか」と考えてみればいいということです。(101ページより)

日々を元気に、忙しく生きているなかでは、なかなか“自分にとって本当に大切なもの”に気づくことができないもの。

だからこそ、これからの人生を少しでも悔いなく生きるために、本書を活用してみてはいかがでしょうか? 長く役立てることのできる、普遍的な内容だと思います。

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2021年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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