<東北の本棚>時空の扉開くガイド本

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地底の森の旧石器人 富沢遺跡

『地底の森の旧石器人 富沢遺跡』

著者
佐藤 祐輔 [著]
出版社
新泉社
ジャンル
歴史・地理/日本歴史
ISBN
9784787721310
発売日
2021/08/03
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

<東北の本棚>時空の扉開くガイド本

[レビュアー] 河北新報

 旧石器時代の森林を発掘されたままの状態で保存した仙台市太白区の「地底の森ミュージアム」。100万都市の市街地から2万年前の世界へ、元ミュージアム学芸員で市縄文の森広場所長の著者が時空の扉を開いてくれるガイドブックだ。

 後期旧石器時代は今より7~8度気温が低い寒冷期だった。北海道のようなトウヒやカラマツの針葉樹林が広がる湿地帯に、旧石器人がシカを追って訪れた。人々はたき火を囲みながら、石器を作り、動物の皮や肉を処理する-。富沢遺跡はそんな旧石器人の営みを物語る。

 1982年に発見された遺跡は、もともと弥生時代の水田遺跡として登録された。一部を試掘して旧石器時代の遺物がある可能性が指摘された。長町南小の建設予定地だったが、87、88年の発掘の結果、遺跡の保存が決まった。深掘りが当初設定された調査区は90ヘクタールのうちのわずか10メートル四方。そこから集中して石器が出土した。本書は「天文学的な確率の奇跡」と言い表す。

 ミュージアムは筒を地面に突き刺すように地下約20メートルまでコンクリートを流し込み、地下水の浸入を防ぐ設計だ。長町南小の校章は「オオツノジカ」がモチーフになった。遺跡の周辺の物語も興味が尽きない。(会)
   ◇
 新泉社03(5296)9620=1760円。

河北新報
2022年1月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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