マイナス思考や怒りに1分で効果を発揮!鏡をつかった脳トレ・感情コントロール術

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仕事も人間関係もうまくいく!「脳」の地図帳

『仕事も人間関係もうまくいく!「脳」の地図帳』

著者
加藤 俊徳 [著]
出版社
三笠書房
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784837928911
発売日
2022/08/25
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

マイナス思考や怒りに1分で効果を発揮!鏡をつかった脳トレ・感情コントロール術

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

職場やプライベートで、「いいたいことがきちんと伝わらない」という悩みを抱えている方は少なくないはず。でも、なぜ伝わらないのでしょうか?

その理由は「脳」にあると主張しているのは、脳内科医である『仕事も人間関係もうまくいく! 「脳」の地図帳』(加藤俊徳 著、三笠書房)の著者。伝えたいことをきちんと伝えるためには、自分の脳と相手の脳、両方がうまく働くような伝え方をする必要があるというのです。

たとえば、みなさんご存知のように、脳には左脳と右脳があります。

通常、左脳は言語を司り、右脳は非言語すなわち言語以外のものを司ります。

コミュニケーションをとるとき、私たちは左脳と右脳の両方を使います。言葉を使うため、言語を司る左脳のほうが重要だと思うかもしれませんが、言語以外を司る右脳も、左脳と同じくらい重要な役割を果たしているのです。(「はじめに」より)

つまり、うまく伝えられなかったのだとすれば、脳の半分しか使っていないということのようです。相手に「なるほど」と思ってもらえる、相手が「わかった」と即行動に移してくれるコミュニケーションをするには、脳全体を柔軟に使いこなすことが不可欠だということ。

そこで本書において著者は、脳全体をバランスよく使いこなし、なおかつ相手にもうまく脳を使ってもらうことにより、「いいたいことがきちんと伝わる」方法を明かしているのです。

ベースになっているのは、著者が独自に見出した「脳番地」の理論。それに基づいて、いいたいことがきちんと伝わるための適切な脳の使い方、すなわち「脳番地トレーニング」を紹介しているわけです。

とはいえ専門的な難解な内容ではなく、すぐに活用できそうなものばかり。きょうはステップ1「未開発の脳のエリアがいっきに覚醒! 自分の脳番地を使いこなす」のなかから、2つのポイントを抜き出してみることにしましょう。

怒りにかられたときは「体」を動かす

沈んだ気持ちを切り替えられず、「自分なんてどうせだめだよ」「わかってくれない相手が悪いんだ」などと過剰にマイナス思考に傾いてしまう人は、感情系脳番地を鍛える必要があるといいます。

感情系脳番地とは、喜怒哀楽などの感情表現を司る脳番地のこと。楽しいことがあれば思い切り楽しく、悲しいことがあれば思い切り悲しむ感情表現ができるのは、感情系脳番地がイキイキと活発に働いている証拠なのだそう。

感情系脳番地の働きが活発なら、「感情表現の豊かな魅力的な人」とも解釈できるはず。とはいえ、あまりにも感情の起伏が激しく、仕事に支障をきたしてしまうような不安定な人は、感情系脳番地がアンバランスな状態であるともいえるそうです。つまり伝わる人になるには、自分の感情を示しつつ、しかし過剰に表現しすぎないよう、自らの感情をコントロールできるようにならなければいけないわけです。

そこで著者がすすめているのは、鏡のなかの自分をほめて喜ばせること。鏡に映った自分のことを、笑顔でほめてみようと提案しているのです。

ほめるのはできるだけ具体的に、多少オーバーなくらいにほめるのがベスト。一日の終わりに、毎日ほめることを習慣づけるといいでしょう。(中略)

ちょっとしたことでも、微笑んでほめて、自分で自分を喜ばせる。このようなトレーニングを重ねれば、感情系脳番地が刺激され、感情表現のコントロールがしだいに上達します。(51〜52ページより)

喜ぶ、ウキウキするなどの「上げる感情」をコントロールできるようになることは、「落ち込んでいた自分を上げる」「イライラしていた自分を落ち着かせる」などのコントロールも可能にしてくれるというのです。

また、感情系脳番地は思考系脳番地と密接な関わりがあるのだとか。それは、ガスバーナー(感情)とやかんのお湯(思考)のような相関関係だといいます。

たとえば、強火でグラグラとお湯が沸騰するように、感情が激しくなると思考も激しくなり、落ち着いてものを考えられなくなります。

逆に弱火だといつまでもお湯が沸騰しないように、感情のテンションが上がらないと、底力のあるポジティブな思考ができません。

つまり、冷静かつポジティブに思考するには、熱すぎず冷めすぎずの、ほどよい思考のテンションが保てるよう、感情をコントロールする必要があるのです。(52〜53ページより)

だからこそ、「笑顔で自分をほめる」トレーニングに意味があるということ。感情系脳番地を鍛えることを通じてポジティブ思考を促し、「伝わる人」になるための後押しをしてくれるからです。(50ページより)

「伝わる人」の真似をしてみる

伝わる人になるには、「伝わる人の真似をしてみる」のもおすすめだそう。キャスターや芸人など、「この人みたいに話せるようになりたい」と思う人を積極的に探し、その人の話し方をお手本にするということ。

私たちの脳には、同調細胞という相手と同調しやすい神経細胞がそなわっています。そのため、積極的に「こうなりたい」と思う人のまねをすれば、同調細胞が活発に働き、その人の動きや仕草と同調できるようになります。(62ページより)

とはいえ、うわべを真似しただけでは不十分。「その人のどこに魅力を感じるのか」「なぜ魅力を感じるのか」など、相手の長所を分析し理解したうえで真似をすることが必要なのです。そうでなければ、単なる「フリ」、つまりモノマネを演じているだけになってしまうからです。

モノマネで伝えようとすれば、本物のような説得力が得られるどころか、聞いている相手にむしろ不自然な印象を与えかねません。脳は本物とニセモノのあいだに生まれる不一致を敏感に感じ取るからです。(63ページより)

したがって、誰かをお手本にする場合は、そうした不一致をできるだけ小さくしていかなければならないわけです。

そのためには、単に真似をするだけではなく、「その人の長所を本気で取り入れたい」「自分自身のものにしたい」と真剣に思うモチベーションが必要。そのモチベーションが運動系脳番地の働きを高め、相手の本質を体で理解して、取り入れた模倣を自分自身の個性に変える後押しをしてくれるというのです。

ちなみにお手本にする人は、コミュニケーション上手な人でなければいけないわけでもないようです。

たしかに、口数が少なくても、心に訴えかけてくる伝え方で相手を魅了する話し手もたくさんいます。そういう人をお手本にしながら、「その人が持っている“相手に伝わる秘訣”はなんなのかを探りつつ、本気でその人の真似をすることが大切なのです。(62ページより)

たとえばこのように、紹介されているメソッドは無理なくできることばかり。まずは気になったものから、気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか?

Source: 三笠書房

メディアジーン lifehacker
2022年9月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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