性格の土台「3つの気質」を活かしてコミュニケーションスキルをアップする方法

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「他人に振り回される私」が一瞬で変わる本

『「他人に振り回される私」が一瞬で変わる本』

著者
山本 千儀 [著]
出版社
日本実業出版社
ジャンル
哲学・宗教・心理学/心理(学)
ISBN
9784534059710
発売日
2022/12/16
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

性格の土台「3つの気質」を活かしてコミュニケーションスキルをアップする方法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

いまも昔も、そしておそらく今後も変わらないのが人間関係の悩み。なぜなら多くの人は「人のなか」で共存しているものだし、そもそも人生とは「人と生きること」だからーー。

「他人に振り回される私」が一瞬で変わる本』(山本千儀 著、日本実業出版社)の著者がこう指摘していますが、たしかに人の悩みの8割は人間関係にあるともいわれています。しかし、そもそも人はなぜ人間関係で悩むのでしょうか?

著者によれば、それは相手のことや、相手と自分との違いがぼやけていて、よくわかっていないから。逆に考えれば、相手の性格、行動パターン、思考、コミュニケーションのクセなどをあらかじめ把握できれば、ストレスを感じることも減り、想定内で対応できるようになるわけです。

人は、生まれながらにして性格の土台となる“気質”(生まれながらに持つ先天性の気質)を持ちます。

本書では、人が持つ気質をまずは大きく3つに分類し、そしてそれぞれの特性に合ったコミュニケーションの取り方についてお話していきます。

また、決して無視ができない“後天的”な人格(育った環境によって影響される性格)についても触れていきます。これらは日本コミュニケーション心理学協会(溝口和廣会長)の知見にもとづいています。(「はじめに」より)

著者はJAL国際線のCA(客室乗務員)として19年間のキャリアを積み、多くの人々と接してきた人物。その後、学んできた心理学の知見をもとに、パートナーシップ、組織の上司部下の人間関係やコミュニケーション、子育てなどのセミナー、講座などで話をする活動を続けているそうです。

つまり本書のバックグラウンドには、心理学的な知見と自らの経験から得たものがあるわけです。きょうはそのなかから、Chapter 1「気になるあの人のことを、もっと早く知りたかった!――気質分析からわかる『人間関係』のコミュニケーション心理学」に焦点を当ててみたいと思います。

感情をスッキリ解放させよう

本書では、人の土台である気質を3つに分けています。

前述した日本コミュニケーション心理学協会の溝口和廣会長の考案を軸に、アメリカの心理学者であるシェルドンの「頭脳緊張型」「内蔵緊張型」「身体緊張型」、ドイツの学者クレッチマーの「同調性気質」「内閉性気質」「粘着性気質」と、スイスの心理学者であるユングの「内向―外向」「思考―感情」「感覚―直感」のタイプ分け理論を組み合わせているそう。

① 理論型(I型=Intellectual)

② 感覚型(E型=Emotional)

③ 行動型(P型=Physical)

(20ページより)

まず①の理論型は、思考を重視し、なにごとについても「なぜ?」と理由を聞きたがるタイプ。理由を知って、納得してから動こうとする傾向があるわけです。

自分なりに考え、段取りをして準備が整ってから行動したい気質であるため、行動を先に促されたり、急かされたりするのが苦手。また、知的な表現や言い回しを好む、分析的な態度をとる、終わったことよりも未来のことを考える、といった特徴があるといいます。

次の②感覚型は、文字どおり感覚や気分で動く気質の持ち主

普段から、印象や感じ方でものごとを判断する傾向があるわけです。たとえば、「このお店、雰囲気がいいから入ってみた」「わからないけど、なんとなくいいと思った」というような表現をよく使う人は、感覚型気質の可能性が高いとか。

感覚型の人は好き嫌いがはっきりしていて、人情深く、情に流されやすく、人に気を使いがち。そのため買いものに行った際に店員さんから親切にされたりすると、あまり欲しくなかったものまでつい買ってしまったりもしがちだそう。

また、理論型の人が未来を考えるのに対し、過去を重視するのが感覚型の人。「あのとき、ああすればよかった」というように反省しがちであるのも、感覚型気質の特徴なのだといいます。

最後の③行動型は、初動のスピードも早く、とにかく動いてみたい、やってみてから考えたいという体験重視の気質

理屈をあれこれ知る前に、とにかく実際に試して理解しようとするところが最大の特徴だということ。

このタイプはものごとを合理的に見てムダを嫌うため、結論が見えない長い話が苦手。話を聞いている途中で「で、結論は?」「結局どうするの? 決めてしまおう」というように早く話が終わる流れをつくる人がいますが、それは行動型の人にありがちな反応なのだそうです。(159ページより)

3つの気質で理解する

理論型にはアイデアに優れたタイプの人がいます。

ディズニーランドを生み出したウォルト・ディズニーさんや、日清食品の創業者である安藤百福さんなどが挙げられます。

企画型、マッチング型ビジネス、商品企画、イベント企画、紹介業、仲介といったビジネス形態に強みを持ちます。

もう一方では分析、リサーチ型ビジネスに向いている理論型のタイプもいます。(24ページより)

ウォルト・ディズニー、安藤百福両氏は、前者に当てはまるわけです。(24ページより)

感覚型の人は、感覚や感受性、直感力を仕事にできる人たちであり、芸術家肌の人が多く見られます。

宮崎駿さん、手塚治虫さん、假屋崎省吾さん、宇多田ヒカルさんなどが感覚型の方々です。(25ページより)

ビジネスの世界にも感覚型で思考している方は多く、ホンダの創業者である本田宗一郎さんやアップル創業者のスティーブ・ジョブズさんがそれにあたるようです。

行動型の人のなかには、熱量や勢いが強く、高い専門性を持つ人が多くいらっしゃいます。ムダを嫌うので、改善提案や企業の再建などにも優れた手腕を発揮します。(26ページより)

行動型は時代の先読みが得意なので、プロデューサーとして活躍されている人も多いようです。(24ページより)

時代が大きく変化していくなか、人間関係においては「見るべし、聞くべし、話すべし」を意識してほしいと著者はいいます。

「よく観察し、わからないことは聞き、自身の意見を言語化すべき」だということ。いまある人間関係をよりよいものにするために、こうした考え方に基づいた本書を活用してみてはいかがでしょうか?

Source: 日本実業出版社

メディアジーン lifehacker
2023年1月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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