会社が教えない「心が疲れない仕事術」。モチベーションを最適に保つメンタルコントロール方法

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会社、仕事、人間関係で心が疲れない仕事術

『会社、仕事、人間関係で心が疲れない仕事術』

著者
福山 敦士 [著]
出版社
あさ出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784866674971
発売日
2023/03/14
価格
1,485円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

会社が教えない「心が疲れない仕事術」。モチベーションを最適に保つメンタルコントロール方法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

毎日仕事をしていると、なにかと疲れてしまいがち。人間関係のストレスもたまるでしょうし、がんばっているのに、思うような結果につながらないということだってあるかもしれません。

そんな状態が続くのでは、楽しさを感じることができず、心が疲弊してしまったとしても無理はないでしょう。

しかし『会社、仕事、人間関係で 心が疲れない仕事術』(福山敦士 著、あさ出版)の著者によれば、「心の持ちよう」をどこに置くかで、心の疲弊の状態も変わるよう。そこで本書では、自分のメンタルをコントロールするコツを紹介しているわけです。

根底にあるのは、著者自身の体験です。契機が訪れたのは、仕事がうまくいかずに疲れ果てて体調を崩し、入院したときのこと。

そのとき真剣に悩み、気持ちを切り替えるためにメンタルコントロールを意識するようになったところ、仕事でつねに感じていた「つらい」「嫌だ」といった思いを感じることがなくなり、体が疲れたとしても心は疲弊しなくなったというのです。

以後は本当に楽になり、仕事もプライベートも楽しめるようになったのだとか。

人生は、毎日がワークの積み重ねでできています。ビジネスワーク、ライフワーク、フィールドワーク……。ワークが付く言葉は数えきれないほどあります。

つまり、「仕事=ワーク≠人生そのもの」。(「はじめに」より)

いいかたを変えれば、ビジネスだけが人生のすべてではないわけです。とはいえ、仕事に関わる時間が圧倒的に多いのも事実。そのため心が疲弊してしまうと、他の大事な時間にも影響を及ぼしてしまうことになるかもしれません。

けれど、それではもったいない。だからこそ「心が疲れない仕事術」を身につけるべきだという考え方に基づく本書のなかから、きょうはChapter 4「モチベーションは自分で動かす モチベーションを下げないコツ」に焦点を当ててみたいと思います。

モチベーションは上げ下げしすぎない

心を疲れさせずに働くためには、気持ちをニュートラルに保つのがいちばん。とくにモチベーションが、上げすぎたり下げすぎたりしないことが大切だといいます。

もちろん、「がんばろう」というようなモチベーションがあること自体はいいこと。しかしモチベーションが上がりすぎると疲れにつながってしまうため、バランスが必要だというのです。

つまり、心が疲れないように、モチベーションを上げすぎないことも大切だということ。そこで著者は、自身が行っているモチベーションコントロールの作法を紹介しています。

ポイントは、「上下」ではなく「遠近」を使い分けることだそう。どういうことでしょうか?

遠くの目標を追いかける

理想の未来といまの仕事を紐づける(意味づけをする)方法で、モチベーションを安定させたいときに有効。

直近ではなく、1、2年後など少し先の未来を設定することがポイントです。

1、2年後でも高すぎる目標の場合は10〜20年後などに設定することで、今の業務の意義を深く問うことができるため、その後迷いがなくなります。

たとえば「いつか起業したい」「いつか田舎で暮らしたい」でもOKです。(112ページより)

近くのタスクに追われてみる

期日が迫っていて、やらなければならないタスクに集中する方法。

おもにモチベーションが下がっている際にいいそうです。先のことを考えて不安になるときなどは、目の前のタスクに全集中するべきだという考え方。

ビジョンなどは設定せず、とりあえず「近くのタスクに追われてみる」うちに、ランナーズハイ(走っている最中や、走った後に訪れる多幸感)の状態に自分の意識をもっていってしまうのです。

ランナーズハイには、脳内物質が関係していると考えられており、集中して仕事をしている時も、同様に「ワーカーズハイ」の状態が訪れ、モチベーションを自動的に上げることができます。(115ページより)

病気とまではいかないような、バイオリズムなどの影響による体の不調でモチベーションが上がらないときは、この方法を活用すると、比較的楽に調子を取り戻すことができるといいます。(112ページより)

完全オフではなくスリープモードにする

パフォーマンスを上げるにあたっては“仕事のスイッチ”を持ち、オン・オフを明確にすべきだという考え方があります。もちろんそれも有効な手段ではあるでしょうが、ちょっとした問題点も。

しっかりオフを堪能したら、次には高いパフォーマンスを発揮するオンの状態まで持っていかなければなりません。しかし、そのためには相応の時間と気持ちが必要。日々の仕事のなかでそれを行うのは、決して楽ではないわけです。

そこで著者は、毎日仕事を終えたら、スイッチをオフにするのではなく、“スリープモード”に切り替えるのだそうです。

PCの起動をイメージしていただくといいでしょう。シャットダウン状態より、スリープモードにしておいたほうが、スムーズに作業へと移行できます。(117ページより)

著者のいうスリープモードとは、「仕事の手を止めてはいるものの、完全に寝てしまっているわけではない状態」。そんな状態にいれば、たとえば仕事以外のことをしているときに仕事で役立つなにかが起きたとしても、すぐビジネスモードに入れるというのです。

たとえばテレビやネットで有益な情報に出会ったとき、それを逃さず反応できるということのようです。

ちなみに著者は土日も含めて「休み」をとらないそうですが、その代わりに「休む時間」を最大限にすると決めているのだといいます。

「きょうは残業をしない」など、時間の制御をしたり、家族と過ごす時間を積極的につくったりするなど。

スリープモードにしていれば、いつでもビジネスワークのスイッチがオンにできるため、休む時間をムリなく確保することができます。(119ページより)

また、「ファミリー&フレンドワーク」や「ライフワーク」など、ワークを切り替えながら過ごすと、頭のなかで使う筋肉が変わり、脳を効率よくリフレッシュさせられるのだそうです。(116ページより)

ビジネスパーソンに求められるスキルにもいろいろありますが、真っ先にするべきはメンタルコントロールだと著者は断言しています。

なぜなら自分のメンタルを自在に操れるようになれば、得する場面は増えていくものだから。疲れをためずに心地よく仕事をするために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: あさ出版

メディアジーン lifehacker
2023年4月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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