少なくない同僚が悪事に手を染める中、「病的なまでに清廉潔白」な大坂町奉行所与力、大塩平八郎は数々の不正を正していく。
38歳で隠居、掛け持ちしていた塾での指導に専念する。学ぶことが善悪の見極めにつながり、よい世につながると信じたから。
しかし塾で聞かされるのは、相変わらずの公儀の腐敗。農民や町民の困窮を尻目に、豪商から賄賂を受け取る為政者は策を打たない。天保8(1837)年、大塩はついに世直しを決断する―。
大塩平八郎の乱に至る動きを、周囲の葛藤も織り込んで活写した評伝小説。(講談社・1980円)

-
2023年5月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
