『桃を煮るひと』
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『桃を煮るひと』くどうれいん著
[レビュアー] 産経新聞社
令和3年に「氷柱(つらら)の声」が芥川賞候補になり、児童書や歌集も手掛ける若手女性作家が新聞連載などをまとめた食のエッセー。
表題作は写真もイラストもないのに甘い匂いを想像させる。「カリカリ梅」では、営業職と二足のわらじを履いていた頃に好んで食べた梅漬けについて記述、酸っぱさがほとばしる。
塩味おにぎりやジャガイモのみそ汁など、ありふれた食べ物を独特の表現で料理していく。著者は中華料理店の厚いメニューにいつもわれを失うが、一人では外食できないそう。仕事先で知人の都合がつかなかったとき、食事に誘った相手は…。(ミシマ社・1760円)