職場やチームのモヤモヤを晴らす「組織開発」どうやってはじめるの?その3つの効果

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いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方

『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』

著者
中村 和彦 [監修]/早瀬 信 [著]/高橋 妙子 [著]/瀬山 暁夫 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784478116883
発売日
2023/09/07
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

職場やチームのモヤモヤを晴らす「組織開発」どうやってはじめるの?その3つの効果

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

ご存知のとおり、近年は組織を取り巻く環境が大きく変化しています。たとえば転職はもはや一般化しましたし、多様性の重視や働き方改革など、マネジメントを複雑化する新たな価値観や手法ももたらされることになりました。また在宅勤務の創価やリモート会議の定着なども、組織周辺の状況をさらに複雑化させています。

したがって、チーム・組織が抱える課題が増えるのは当然。『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦 監修、早瀬 信、高橋妙子、瀬山暁夫 著、ダイヤモンド社)の監修者である中村和彦氏も、本書の冒頭でそのことを認めています。課題を挙げればきりがなく、しかも、それがなかなか解決に至らないのだと。

しかし、それは仕方がないことでもあるはず。昨今のような複雑な職場環境においては、マネジメントの手腕だけではなく、メンバーのモチベーションや仕事に対する考え方など、さまざまな要因が複雑に絡み合っているからです。

そこで、組織開発です。

いまいち言語化できない、複雑なチーム・組織の悩みに向き合い、解決に近づける。

それが組織開発の得意分野です。(「はじめに」より)

本書は、そんな組織開発のはじめ方を、わかりやすく解説したもの。監修者の中村氏を軸に、直接・間接的にその教えを受け、それぞれの立場で組織開発を実践している3人の著者が執筆に携わっています。

大企業や中小企業、飲食店、自治体、教育現場まで、さまざまな事例を通して、組織開発のはじめ方や進め方のポイントをお伝えします。

また、事例だけではなく、読者のみなさんが組織開発の「はじめの一歩」を踏み出せるよう、「組織開発のきほん」についても丁寧に解説しています。(「はじめに」より)

きょうはCHAPTER1「職場のモヤモヤを消し去る! 組織開発の「きほん」のなかから、知っておきたいトピックスを抜き出してみたいと思います。

「組織開発」とはなにか?

ここ数年は企業のあいだで組織開発に関する関心が高まり、実践例も増えてきたのだそうです。とはいえ、どうすれば組織開発がうまく機能し、組織が変わるのかという点はわかりにくくもあります。いったい、「組織を開発する」とはどのような行動を指すのでしょうか?

著者によれば組織開発はもともと米国で発祥したもので、長年にわたって取り組まれ、洗練されてきたのだとか。なお、その定義については以下の文章がよく知られているようです。

「組織開発とは、組織の健全性、効果性、自己革新力を高めるために、組織を理解し、発展させ、変革していく、計画的で協働的な過程である」

(Warrick D.D.(2005). Organization development form the view of the experts. In W.J. Rothwell & Roland L. Sullivan(Eds.)Practicing organization development: A guide for consultants. 2nd edit. San Francisco, CA: Pfeiffer. pp. 164-187.)(33ページより)

やや硬い表現ではあるものの、組織の「健全性」と「効果性」は重要なキーワードだそう。また、ここでは前出の中村氏による『入門 組織開発』(光文社)からの一文も紹介されています。

組織開発の本来の意味は「組織内の当事者が自らの組織を効果的にしていく(よくしていく)ことや、そのための支援」です。(「はじめに」より)

つまり組織開発とは、現場にいる人たちが自ら、人と人との関係性を通して組織内の違和感のあるプロセスを見なおし、よりよい組織をつくる活動だということ。その結果、関係性も豊かになり、組織の健全性も高まるわけです。(32ページより)

組織開発で得られる「3つの効果」とは?

なお、組織開発によって、次の3つの効果が得られるそうです。

1.【効果性】目標達成ができる

企業組織の目標としては、「予算を達成する」「ヒット商品を開発する」「品質を安定させる」などが想定されます。いわば、組織として成果を上げられるかどうかの「効果性」という観点。

組織開発では関係する人がともに活動するため、納得して目標に向かって動くチームができています。その結果、目標達成に素早く近づけるようになるわけです。

2. 【健全性】明るくイキイキ元気がある

目標達成ができる組織の共通点は、「コミュニケーションがきちんと取れている」「助け合える」「教え合っている」など、明るくイキイキしていることだそう。つまり、組織が「健全性」を保てているかという観点です。

組織開発では、人と人との関係性を築きながら組織のプロセスを見なおしていくので、人間関係が深まり、支援関係が生まれるためメンバーは元気になっていくといいます。

3. 【継続性】よい状態を自分たちで継続できる

企業に限らず、組織での行動は長く続いていくべきもの。たとえリーダーが替わっても、先輩が卒業しても、新たなメンバーが加わっても、同じように明るくイキイキした雰囲気を変えず、目標を達成し続けていくべきなのです。そこで重要なのが、組織の風土をつくり上げ、それを維持していく「継続性」という観点。

メンバーの入れ替わりがあったとしても、自分たちに合った組織プロセスをつくり、残った人で継承できることが理想です。必要に応じて再び組織開発を行うことで、良い改善を続けられるようになります。(36ページより)

これら3つの条件を満たし、「よいチームやよい組織」であり続けるために、組織開発は効果を発揮するというのです。

しかし、その時々の外的な条件や、メンバーのメンタル状態などを要因として、3つのどれかが欠けてしまったり、レベルが下がってしまうこともあるもの。そんなときには話し合いによって、本来ありたい状態と現状のどこに差があるのかを見つけ、回復の手立てを考えることが大切。それもまた、組織開発の大事な役割だということです。(35ページより)

組織開発ということばを知って手に取った方も、あるいはそうでない方も、ゼロから組織開発についての理解ができ、その進め方のポイントがわかるはず。チームや組織のモヤモヤを晴らすべく組織開発を進めるため、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: ダイヤモンド社

メディアジーン lifehacker
2023年9月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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