収入に関係なくお金を貯められる人の習慣 老後3000万円のために、いまからできることは

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お金を貯められる人のすごい習慣

『お金を貯められる人のすごい習慣』

著者
横山光昭 [著]
出版社
ぱる出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784827214123
発売日
2023/09/07
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

収入に関係なくお金を貯められる人の習慣|老後3000万円のために、いまからできることは

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

物価が上がる一方だし、水道、電気、ガスもどんどん値上げ。子どもも大きくなるにつれて、食費も教育費もかかってくる。欲しいものもいっぱいある……。

お金は出ていくばかりなのに、収入は増えない。

このままでやっていけるだろうか。(「はじめに」より)

『お金を貯められる人のすごい習慣』(横山光昭 著、ぱる出版)の著者のところにも、そのような不安を抱えて訪れる方が非常に多いのだそうです。

なにしろ先行きの見えない時代ですから、充分に理解できること。しかし、こうした相談を持ちかけてくる方々に対しては、いつも「大丈夫ですよ。少しやり方を変えれば、収入に関係なくお金を貯めることができますよ」と伝えているのだとか。

著者は「家計再生コンサルタント」として、2万件以上の家計を見てきた実績の持ち主。そのなかで、お金を貯められる人には“ある共通点”が存在することに気づいたのだといいます。同じく、貯められない人にも似たような傾向があるのだとも。

そこで本書では、“貯められる人”になるための方法を多角的に紹介しているわけです。なお、注目すべきは以下の主張です。

お金を貯められる人=お金を稼いでいる人ではありません

いくら収入が多くても、収入以上に支出が多かったら絶対にお金は貯まりません。そして意外とお金を貯められていないのが、平均以上に収入がある人です。

逆に、たとえ収入はそれほど多くなくても、毎月家計を「プラス」にしていたら、着実にお金は貯まります。それほど収入が多くない人のほうが、工夫をしながら堅実に貯めているケースが多いです。(「はじめに」より)

お金を貯められる人とそうでない人との差は、ちょっとした考えや習慣の違いだけなのだとか。つまり、いまお金が貯められなくても、思考や習慣を少し変えるだけで“貯められる人”になれるということ。

きょうは第1章「お金を貯められる人の共通点」のなかから、いくつかを抜き出してみたいと思います。

普通の収入でも3000万円は貯められる

少し前、老後資金には3000万円必要だという試算が大きな問題になりました。実際のところ、老後までに3000万円を貯めるのは簡単な話ではなく、「絶対にムリだ」と感じている方も少なくないはずです。

しかし、別に稼いでいなくても、お金は貯められるのだと著者は主張しています。普通に収入があれば、そして時間とワザを使えば、3000万円を貯めるのはさほど難しいことではないというのです。

たとえば、年収300万円、現在の貯蓄が300万円だったとしても、積立投資やNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用し、さらに退職金も合わせれば、15年後、20年後に3000万円を貯めることは充分に可能だというのです。

そして、「いまから始めれば、絶対に変わる」とも著者は断言しています。少なくとも、いまから行動を起こしておけば、70歳になったとき「資産が全然ないです……」という危機的状況を迎えることにはならないとも。

日本政府も「貯蓄から投資へ」を目標に掲げ、「資産所得倍増プラン」を打ち出しました。これに先立ち、iDeCoは2022年からより多くの人が活用できるよう、改正されました

これまで対象者は60歳未満の国民年金被保険者でしたが、2022年からは65歳未満に。運用可能期間も最長70歳から75歳までに延長。会社員が利用できる条件も緩和されました。そしてこのプランの1つとして、今後も加入年齢の引き上げなどが検討されています。

また、2024年には新NISA制度に改正されます。現在決まっているところでは、年間で投資できる上限額が120万円から360万円に引き上げられます。そのほか、生涯非課税限度額が1800万円に、非課税保有期間が一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間だったのが無期限になる予定です。

これらが何を表しているかと言えば、「制度は用意したから、あとはやるもやらないも自分次第ですよ」ということです。(18ページより)

ご存知のとおり、公的年金だけで生活していける時代は終わりました。そのため著者は、これからの時代の生き方として「WPP」を勧めています。

WPPとは、60歳以降もできるだけ長く働いて収入を得(Work longer)、預貯金や退職金、企業年金、iDeCoや個人年金保険などの私的年金(Private pensions)を間にはさみ、終盤で国民年金や厚生年金などの公的年金(Public pensions)を利用する、という生き方です。日本年金学会で提唱されました。

お金を貯められる人はすでにそれをはじめています。(19〜20ページより)

だからこそ、大切なのはとにかく動くこと。お金を貯める第一歩は、行動を起こすことだというわけです。(16ページより)

ムリせず自然にお金によさそうなことを試してみる

雑誌などで「この方法で年間300万円貯めました」というような“節約特集記事”を目にすると、「がんばって切り詰めないと、お金は貯まらないのではないか?」と思われるかもしれません。

しかし、堅実に貯めている方を見ていると、あまり我慢をしているように見えないと著者は指摘しています。それどころか、みんなとても自然だというのです。だとすれば、なにがそういう人たちを自然にするのでしょうか?

それは、「お金によさそうだなということは気軽に試してみる」ということ。つまり、実際に行動を起こしているということです。(22ページより)

たとえば、携帯電話の通信費が1000円台のプランがある、と知ったら「ちょっとやってみようかな」と気軽に試してみる。そのプランを利用してみて、もし使い勝手が悪かったり、使いづらかったりしたらまた替えればいい。まずは行動に移しています。(21ページより)

つまり、試しにやってみようという行動力を持ち合わせていることが重要であるようです。そこで著者は、自分で調べたり、人から聞いたりして「ちょっとよさそうだな」と思ったことは、まずは少しやってみることを勧めています。

一歩を踏み出すことが大事です。やるかやらないか? だけの違い。これがのちに大きな差を生み出すのです。(23ページより)

なるほど、こういう視点は持っておくべきかもしれません。(21ページより)

本書を読み終えたら、「これならできそうだな」と思えることをひとつでも試してみてほしいと著者はいいます。そんな小さな一歩が、やがて大きな変化を生み出すかもしれないから。少なくとも、試してみる価値は大いにありそうです。

Source: ぱる出版

メディアジーン lifehacker
2023年9月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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