『自律神経にいいこと大全100』
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いくつ当てはまる?「自律神経」を整えるデスクワーク環境チェックリスト
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『自律神経にいいこと大全100』(森田遼介 著、ワニブックス)の著者は、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として10年以上の実績を持ち、埼玉と東京で訪問治療を行なっているという人物。SNSを通じ、自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方などを発信してもいるそうです。
ところで情報過多の現代は、「この不調には〇〇が効果的」というような目新しいメニューやパフォーマンスであふれています。しかし実際のところ、長続きしなかったり、効果を実感できなかったりすることも少なくないのではないでしょうか? 著者もそうした傾向を気にかけているようで、次のように主張しています。
大切なのは、自分に合ったセルフケアの方法を見つけること。
そして、それを継続する力です。(「はじめに」より)
地味でもコツコツと継続できるメニューを、自分に合った方法で組み合わせれば、さまざまな不調に対応できるということ。また、完全にはよくならない不調とも、上手につきあっていけるようです。
私自身、11歳の時にサッカーの試合で腰の骨を蹴飛ばされ、腰椎すべり症を発症しました。そこから坐骨神経痛を発症し、体に歪みが出て、様々な不調を経験してきました。
しかし、現在は腰の骨がズレたままでも不調に悩まず元気に生活ができています。なぜなら、自分に合った不調との付き合い方を見つけたからです。(「はじめに」より)
そこで本書では、自身の経験と鍼灸・あん摩マッサージ指圧師としての知見を軸に、100通りの簡単なセルフケアの方法を紹介しているのです。
きょうは第4章「体を整える 自律神経にいいこと」のなかから、2つのトピックスを抜き出してみたいと思います。
デスクワーク環境を見なおそう
「VDT作業」とは、ディスプレイやキーボードなどで構成されるコンピュータ機器を使用する作業のこと。デスクワークなどでVDT作業を長時間行なう人には、首から腰まで全体的に体が凝り固まっているという特徴があるようです。
しかも筋肉のこりだけでなく、眼精疲労や頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、胃腸トラブル、あるいはイライラしやすくなるなどの不調につながることも。それらの症状は、同じ姿勢で画面を見続けることで自律神経が乱れてしまっている証拠なのだそう。
VDT作業で体を動かさないのは、本来の人間の仕組みには合っていないことをしているということ。そのため、さまざまな不調を引き起こすことになるわけです。とはいえ、そう簡単に仕事を変えるわけにもいかないのも事実かもしれません。
そこで著者は、すぐに役立てられそうな「デスクワーク環境チェックリスト」を紹介しています。
① 目からディスプレイの距離は40センチ以上。
② ディスプレイは目線より下に設置する。
③ キーボードは肘を90度以上にして自然に手が届く位置。
④ パームレスト(アームレスト)を使う。
⑤ キーボードの角度を好みに調整する。
⑥ 腕は椅子の肘掛けかデスクに置いて支える。
⑦ デスクの高さは60〜72センチの範囲で調整できるもの、または65〜70センチの高さのものを選ぶ。
⑧ 椅子の高さは37〜43センチの範囲で調整できるものを選ぶ。
⑨ 座面と膝の間に、手の指が入る程度のゆとりを作る。
⑩ 足裏全体が床に接するようにする。届かない場合は足台を使う。
(123ページより)
VDT作業が多い人はこのチェックリストを参考に、デスクワーク環境を整え、少しでも負担を少なくするべきだということです。(122ページより)
23時に寝ることが理想
東洋医学では、23時〜翌3時の間は、血(けつ)を作る時間帯と考えられています。血とは、血液だけを指す言葉ではなく、栄養・ホルモン作用・精神にも関わる中国4000年の歴史に生まれた独特な概念です。(125ページより)
睡眠のトラブルや悩みを抱えている方はもちろんのこと、「普段から疲れやすい」「クラクラする」「夕方になると不調が悪化しやすい」というような状態は、「血虚(けっきょ)」という、血が不足しているサインだというのです。
また、内臓の働きについて「子午流注(しごるちゅう)」という考えに基づくと、24時間を12分割することができるそう。
血と関係が深い「肝(かん)」と「胆(たん)」の時間は23時〜翌3時に当たります。この23時〜翌3時の時間帯を含めて合計7〜8時間の睡眠を取ることが理想的です。(125ページより)
血虚症状のサインには、動悸、爪が薄い・割れやすい、物忘れが多い、抜け毛・白髪が多い、顔色が白い・ツヤがない、乾燥肌・肌がカサカサする、眠れない・熟睡できない、耳鳴り、不安になりやすい、自分に自信が持てない、貧血、立ちくらみがある、かすみ目・疲れ目、生理不順、月経の出血量が多いなどが挙げられるといいます。
原因としては、疲れやストレスの蓄積や、脂っこいものや糖分の摂り過ぎによって内臓が疲れていることが考えられます。スマホやパソコンによる目の酷使、食べもの・飲みもののかたより、夜更かしも血虚の原因となります。(125ページより)
そこで、まずは睡眠のリズムを見なおしてみるべき。すぐに調整ができない場合は、10分でも早く寝る準備を心がけてみることを著者は勧めています。
食事面では、血を補うために黒ごまや黒豆、プルーンなどの黒い食材、にんじんやトマトなどビタミン類の多い赤色食材を積極的に摂ると効果的。牡蠣やレバー、小松菜なども血を増やすために有効な食材だといいます。(124ページより)
不調の原因は人それぞれ違う以上、他の誰かによって役立ったメニューが自分にも合うとは限りません。だからこそ本書を参考にしながら、自分に合うメニューを見つけて実践し、体の状態を整えたいものです。
Source: ワニブックス