『雪と暮らす古代の人々』
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『雪と暮らす古代の人々』相澤央著
[レビュアー] 産経新聞社
NHK大河ドラマ「光る君へ」のヒロイン紫式部は、父の任地の福井県で豪雪を体験したそうだ。
だが奈良・平安時代の冬は温暖で、平安京での積雪は約9センチ以下の場合がほとんどだったとみられる。そのためか貴族たちの雪遊びが楽しげだ。庭に雪山を作らせ、その前で音楽を聴き和歌を詠む。北郊の山に馬で登り、都の雪景色を眺める。『源氏物語』には童女たちが雪玉を転がし大玉にして遊ぶ場面があるが、貴族たちは童女たちの姿を見て楽しんだという。
本書は雪を切り口に古代の暮らしを描いたもの。豪雪地帯の雪害や東北での蝦夷との戦いも取り上げた。(吉川弘文館・1870円)