太宰治(1909~48年)の生前に出版された唯一の全集で、太宰自身が編集に携わったことで知られる八雲書店版『太宰治全集』。その成立過程をたどる企画展「太宰治の全集創作」が、東京都三鷹市の太宰治文学サロンで開かれている。
会場では八雲版全集の現物をはじめ目次案など関連資料約20点を展示。同全集は昭和23年に全16巻構成として配本が始まり、同年の太宰急逝を受けて未発表作品や書簡集を増補した全18巻構成に変更されたが、25年の八雲書店倒産により計14巻を刊行して中絶。ファンの間では“幻の全集”として知られる。
八雲版全集の題字は太宰自身の揮毫(きごう)で、表紙には生家の鶴丸紋が型押しされており、作家本人の意向が強く反映された装丁になっている。健康を害していた最晩年の太宰だが、目次案や年表の作成、配本順番などに細かな指示を与えていたほか、口絵写真を生家から取り寄せたりするなど、全集の編集や校訂に精力的に打ち込んでいたことが資料からうかがえる。
10月2日まで。入場無料。月曜休(19日は開館)。問い合わせは同サロン(電)0422・26・9150。(磨井慎吾)
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