なお、「どうやって選挙人になるのか」は州によって違いがありますが、だいたい(現職議員などを除いた)各政党の関係者・功労者が選ばれるようです。
また、アメリカ大統領の任期は原則的に4年で、2度を超えて選ばれることは禁止されています。仮に、現在1期目の任期にある現職大統領が再選を目指すときは、もう一度党内の予備選挙に勝たねばなりません。そのときは、任期の半ばから国政に携わるかたわらで大統領選に注力していく必要があります。
「選挙人選挙」のしくみ
全米における選挙人の数は、各州から選出される連邦上下両院の議席数を合計した535+どこの州にも属さない首都(コロンビア特別区)の分である3を足した、合計538人となります。個々の州レベルで選挙人の数を見ると「上院議員の数(2人)+下院議員の数(州の人口によって変動)」となり、人口の多いカリフォルニア州では55人、少ないアラスカ州では3人になります。
大統領選挙を勝ち抜くためには過半数である270人を獲得する必要があるのですが、ここで注目すべきなのは「勝者がその州に所属する選挙人を総取りする」ということです。上述のカリフォルニア州(55人の選挙人。以下、州名の後ろの数はその州の選挙人の数を示す)を例にとると、「民主党の候補者が25人、共和党の候補者が30人を獲得」といったかたちではなく、「得票数の多かった党が選挙人55人をすべて獲得」することになります。
このため、自党の支持基盤となる州を固めつつ、フロリダ州(29人)やペンシルバニア州(20人)のような、政党の支持率が流動的で選挙人の数も多い「激戦区」をいかに制するかが重要となります。今回勝利したトランプ氏も、これらの激戦区で勝利したことが、最終的な勝利に結びつきました。
また、この方式では「全米単位でみた得票数が少なくても、効率よく選挙人を獲得できれば勝てる」という現象が発生することがあります。
事実、今回の選挙戦でもクリントン候補が60,071,781票(得票率47.7%)、トランプ候補が59,791,135票(得票率47.5%)と、全得票数・得票率ではいずれもクリントン候補が上回っていましたが、最終的にはトランプ氏が過半数の選挙人を獲得して勝利しました(各データは英語版ニューヨークタイムス・特設サイトによる→http://www.nytimes.com/elections/results/president)。
大統領になる条件
大統領になるには「選挙で勝つ」のはもちろんのことですが、それ以外にも条件があります。アメリカ合衆国憲法第2条第1節第5項には「大統領に選ばれる資格を持つのは、生まれながらの合衆国市民、または、この憲法が成立した時点で合衆国市民である者に限る」と明記されています。この条項が成立したのは1788年なので移民の一世が大統領になることはできませんが、アメリカで生まれた二世以降であれば資格を有することになります。
2016年11月11日時点で現大統領のオバマ大統領も、大統領選を戦った当時、父親がケニア出身であることを理由に「アメリカ生まれではないのではないか」という疑惑をかけられていました。それに対し、オバマ大統領は自分の出生証明書を公開して反論した、というエピソードがあります。
また、そのほかの条件として「35歳以上であること」「アメリカに14年以上住んでいること」という条件もあります。
大統領の権限
次に、大統領の権限について見てみましょう。次の図は、日米それぞれの三権分立制度を表したものです。
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