歴女の杏さん 子どもに歴史小説『関ヶ原』を読み聞かせ

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。3月19日の放送では杏さんは司馬遼太郎の長編歴史小説を紹介し、子どもたちに読み聞かせていると告白した。

■戦の前の「血を流さない戦」

 杏さんは「長編小説の楽しみ方、いっぱい考えてみましょう」と『関ヶ原 上・中・下』司馬遼太郎[著](新潮社)を紹介した。両軍合わせて20万人以上が参戦した戦国時代最大の戦、関ヶ原の戦い。しかし合戦自体は開戦から半日ほどで決着がついていた。司馬遼太郎も文庫本で上・中・下と3分冊もの分量がある『関ヶ原』のなかで、合戦のシーンは下巻の後半でしか描いていない。そこまでは家康や家臣による調略や工作活動などの「血を流さない戦」の様子が描かれている。

■『関ヶ原』を読み聞かせ

 杏さんと夫の東出昌大さんはかねてより夫婦揃って司馬遼太郎ファンとしても知られている。杏さんは司馬遼太郎関連のシンポジウムに何度も参加し、東出さんは現在撮影中の映画「関ヶ原」(監督 原田眞人 2017年8月26日公開)で西軍の武将、小早川秀秋を演じている。司馬作品と縁の深い杏さんだが、今回は文庫版とスマートフォンを使った電子書籍版の両方で読んだという。

 杏さんは電子書籍の利点を「照明が必要なく、暗闇でも読める。暗いところでは文字が白、背景が黒に反転するので、目にも優しい。どんなに分厚い本でも同じ軽さ」と語り、その特性を活かし、暗い中で子どもたちを寝かしつけながら読み聞かせをしていたと驚きの告白。「子どもたちの目に光が入らないようにして、トントントンとやりながら、『関ヶ原』を朗読してあげてました」と明かし、「自分も楽しめるし、優しいトーンで話していれば子どもたちも落ち着く。win-win!」と笑った。

 そして電子書籍ならではの良いところもあり「いい付き合い方ができる」と述べ、「長くて躊躇してしまうような本は電子で買ってみるのもいいかもしれません」と提案した。

■「野良ビトに缶を与えないでください」

 大倉さんは「憧れと絶望と」と『野良ビトたちの燃え上がる肖像』木村友祐[著](新潮社)を紹介した。同書は近未来の日本を舞台にしたフィクション。タイトルの「野良ビト」とはホームレスのこと。未来の日本では“国際スポーツ大会”を前にホームレスの排除が進んでいる。貧富の格差が大きく開いた東京には「野良ビトに缶を与えないでください」という看板が並び、差別が蔓延している。彼らに対する排斥活動はエスカレートし、悲劇的な展開を迎える。

 大倉さんは現代でもホームレスを排除するために、彼らの居場所が“アートスペース”として変えられていることや、公園のベンチに寝ころび防止の柵ができていることなどをあげる。そして小さなところから変化ははじまっていると述べ、同作に描かれた狭量な未来の到来を憂いた。

 3週連続ゲストで『1984年のUWF』(文藝春秋)を上梓したノンフィクションライターの柳澤健さんは『ものぐさ精神分析』岸田秀[著](中央公論新社)を紹介。また下北沢の書店B&B店長の寺島さやかさんが『楽しい動物化石』土屋健[著]『楽しい植物化石』土屋香[著]土屋健[著](河出書房新社)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。またradikoのタイムフリー機能を使い、過去1週間以内の放送を聴取することもできる。聴取はradikoのスマートフォンアプリや下記のURLから。
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20170319000000

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年3月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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