なぜ、肉食系はモテるのか?

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■栄養面での利点とは?

では、文化面だけではなく、生理的にも肉には特別な何かがあるのだろうか? 

よく言われるのが、肉は栄養に優れている、という指摘だ。実はこうした見解の多くは肉への「栄養神話」に過ぎない。タンパク質やミネラルなど、ほとんどの栄養素は菜食で補えるからだ(ただし、近代以前、野菜の種類が乏しく、調理できる穀物も余りないような時代には、肉はそれだけで優れた栄養源だった)。

栄養面で最も利点があるかもしれないのが、生殖能力への影響だ。肉をたくさん食べる女児は、野菜を食べる女児よりも早く初潮がくることがわかっている。これはより多くの子どもを残せるということであり、遺伝子にとっては都合がいい(女性本人ではなく、あくまで遺伝子にとっての利点だが)。

味わいの面ではどうだろう? 
肉を調理すると、茶色くなって、肉独特の芳香が生まれる。肉の芳香にかかわる物質は1000以上もあり、脂肪も欠かせない役割をはたしている。
興味深いことに、肉食動物の脂肪は私たちの食欲をそそらない獣臭い味がする。一方で、牛や羊などの草食動物の肉は癖がなく好ましい。これはその動物の食べた物が、脂肪の構造や風味へと変換されるためだ。
また、ストレスは肉質を悪くするが、こうした肉でもおいしくする強化剤などが奥の手として使われている。

■食肉が足りなくなる未来:栄養転換ステージ5へ

今後、発展途上国が肉食を増やし続ければ、そう遠くない未来に、地球では肉が足りなくなる。
その解決策として、人工的に培養された肉(開発中)、肉に限りなく近いおいしい植物性の模造肉(専門のレストランなどが人気)、昆虫食、肉税(脂肪税としてデンマークで実施)——などなどが期待される。

かつて人類の歴史のなかで、菜食が普及できそうな機会は幾度かあった。
たとえば、ピタゴリアン(ピタゴラス流の菜食主義)が広まっていたら、キリスト教が菜食主義のヤコブの教えに従っていたら、ケロッグやグラハムなど19世紀に盛り上がったベジタリアン運動が続いていたら……。

こうした菜食主義はさまざまな理由で上手くいかなかったが、そう悲観することもない。現在、肉食が人気な国・地域でも以前はそうでなかったところもある。たとえば、日本がまさにそうだ。わが国では仏教などの教えだけではなく、耕地が不足していたこともあって、肉食禁止令が何度も出された。肉食が人々に広まったのは、ようやく明治天皇が1872年に牛肉を試食してからだ。

欧米のように肉が豊富で疾患も多い社会を、栄養学者は「栄養転換ステージ4」と位置づけている。その次にやって来るのが、肉の量をもっと減らす「ステージ5:行動の変革」だ。
栄養転換ステージ5を、人類が実現できるかどうか
——そこに私たちの健やかな未来がかかっていると言ってもあながち過言ではないだろう。

インターシフト
2017年6月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

インターシフト

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