【装丁魂】『ＳＰＡＧＨＥＴＴＩ　＆　ＣＯ』　遊び心で「贈り物にも」

　□「ＳＰＡＧＨＥＴＴＩ　＆　ＣＯ　本場イタリアの絶品パスタレシピ１１２」

　書店にパスタ？

　と思ったら、パスタのレシピ本。欧州の出版社による人気本を翻訳、そのままデザインも踏襲したもの。やや「出落ち」的な装丁だけど、中身もかなり充実。シンプルな「カルボナーラ」「トマトとルッコラのスパゲッティ」から、「栗のタリアテッレ、リコッタチーズソース」といった郷土色の強い本格メニューまで、本場イタリアのレシピが１１２例も並ぶ。

　書籍としては奇抜な形態だけに「最初はどうかなと思いましたけど、皆さんワッと驚いて、おおむね好評ですね」とは青幻舎の広報担当者。「年末のこの時期、ちょっとした贈り物にも使っていただければ」。例えば、良質なオリーブオイルに添えたり、いっそのことパスタマシンと一緒にプレゼントしても面白いかも。ちなみに、自家製生パスタの作り方も掲載している。

　あらゆる料理のレシピをインターネットで検索できる時代。売れるレシピ本といえば「作りおき」とか「体にいい」とか、真に実用性の高いものになるけれど、たまにはこういう遊び心もいいな。そう思わせてくれる装丁だ。（アニェーゼ・ベナッサイ著、瀬戸由美子訳／青幻舎・１８００円＋税）

　黒沢綾子