野村克也が伝授!「才能」も「運」もない弱者が「番狂わせ」を起こす方法

イベントレポート

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野村克也
野村克也

100枚のチケットが3日で完売

 3月27日夜、東京八重洲ブックセンター本店で野村克也さんの新刊『番狂わせの起こし方』発売記念「トーク&サイン本お渡し会」が開催された。
 野村さんのサイン会は約3年半ぶりとあって、100人限定のチケットはわずか3日で完売。変わらぬ人気ぶりを示した。
 当日会場に登場した野村さんは、集まったファンの熱気に包まれた会場に少し驚いた様子を見せ、「みなさんに聞きたいんだけど、俺、82歳の老人だよ。何に期待してこんなに集まったの?」と笑いを誘った。

順位予想は「当たったためしがない」

 司会に促され、トークのテーマ「2018年、プロ野球に番狂わせは起こるのか」について話をスタート。まずは今年の日本プロ野球ペナントレースの順位予想。
「俺、順位予想が一番苦手なんだよ。当たったためしがない」と、セ・リーグの首位に挙げたのが読売ジャイアンツ。根拠は「もうそろそろ優勝していいだろ」という根拠のないものだと話す。また、2017年は最下位という結果に終わったヤクルトスワローズを3位と予想。その理由は「息子(野村克則氏)がコーチしているから。願望だな」と、会場を笑いに包んだ。

 パ・リーグの首位はソフトバンクを予想。
「オーナー(孫正義)の言葉にしびれたよね。『金は出すけど口は出さない』。普通は逆だよ」と、自身の監督経験での苦労を語った。
 しかし2位を東北楽天イーグルス、3位を西武ライオンズ、と続けたところで、「4位以下はわからんな。予測不能」。
 など、苦手だという順位予想で、おおいに会場を沸かせた。

新刊『番狂わせの起こし方』発売記念「トーク&サイン本お渡し会」
新刊『番狂わせの起こし方』発売記念「トーク&サイン本お渡し会」にて

若者に夢を持ってほしい理由

 野村氏は自らの人生を振り返りながら、今の若い人に夢を持ってもらいたいと熱く語った。
 自分が地方出身で、母子家庭で貧しい少年時代を過ごし、学もない少年がプロ野球選手をめざしたものの、順風満帆ではなかった。南海(当時)にテスト生で入団したものの、1年でクビになりかけ、必死で自分を売り込んでなんとか残った。しかし、「肩が弱い」という捕手としては致命的な弱点があり、一塁手への転向を余儀なくされてしまった。当時の南海の正一塁手は「100万ドルの内野陣」の一角で、後に殿堂入りも果たした飯田徳治さん。
 なんとか捕手に戻らなければ一軍に上がれない……とあがく中で、自分で考え、工夫することの大切さを学んだという。
「当時、筋力トレーニングはご法度だった。でも外国の選手を見たら、みんな筋肉質で鍛えられた体をしている。だから筋肉をつけたら下手になるなんてウソだろうと思った。それで全身の筋力トレーニングをした」
 そうして見事に肩を強化し、捕手として一軍へ戻り、戦後初の三冠王をとるまで活躍できた。その後、監督としても複数の球団で名采配をふるい、野球評論家として82歳の現在まで重宝されている……。
「子どもの頃は、まさかプロ野球で食べていけるようになるとは思ってもみなかった。でも夢を持って、どうすれば夢が叶うか、常に必死に頭を使っていた。それで今の俺があるんだ。だから夢を持つことが大切だって、言いたいんだよ」

頭を使えば番狂わせは起こせる

「番狂わせといえば……」と、1973年の南海が優勝した采配について言及。
 プレーオフ(当時)の相手は実力的に南海より格上と言われていた阪急。
「野球ファンもそうだけど、南海の選手ですらみんな、勝てない、優勝なんてとても無理だ……と弱気だった。どうすれば番狂わせを起こせるか必死に考えて、ひねり出した戦略が、最初から2戦目と4戦目を捨てて、戦力を温存すること。そうすれば1戦目と3戦目、そして5戦目を全力で勝ちにいけると考えたわけだ」
 その采配は見事はまり、思惑通り2勝2敗で迎えた5戦目を見事制し、南海を優勝に導いた。長い監督人生で「あれが一番の、会心の采配だった」と語った。
「この『番狂わせの起こし方』にも書いたけれど、弱者が強者に勝つには頭をつかわないとダメ。これはどの分野でも同じやね」
 常に弱者側、逆境からの挑戦だった野村克也氏ならではの言葉で、トークショーを締めくくった。

青春出版社
2018年5月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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