「能力が高いのに評価されない」には理由があった

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なぜか周りから評価されないのか?
なぜか周りから評価されないのか?

 2019年も年が明けてひと月あまり。昨年までの自分から一皮むけ、今年こそはと新たな目標をたててお仕事に臨まれている方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんのなかに、昨年は頑張ったのになぜか周りからの評価が芳しくなかったと感じている方はいませんか。

 仕事の成績もあがっていて、同僚たちより能力があると自負している。スキルを磨くことにも熱心で自分を高めるための努力も重ねている。それなのになぜかあまり評価されていないと感じる。そんな方はこの機会に自分自身を見つめ直してみてはいかがでしょう。

■「メタ認知能力」が低い

 心理カウンセラーで働く人々を心理面から支援する植西聰さんは、頑張っているのに評価されない人のなかには「メタ認知能力」が低い人が多いのではないかと分析しています。植西さんは著書『怒らないコツ』(自由国民社)のなかでメタ認知能力とは《「自分自身という枠組みを超越して、自分自身を離れた地点から客観的に冷静に眺めてみること」》(以下《》内は同書より引用)と述べています。

 メタ認知能力が低いと自分自身を客観的に観察する能力に欠けるため、自分勝手に振る舞ってしまいます。自分の仕事のために周りの人々を振り回しても意に介さず。そんなふるまいのせいで周囲が迷惑がっていることにも気づきません。周囲との関係が悪くなり、ゆえに実績をあげても評価があがらず、ますますイライラが募り、周囲と衝突してしまう……。こんな悪循環に陥ってしまうこともあります。

■怒りを敵と思え

 人からの信望を得るために大切なのは、無暗に人を怒ることではなく、人に優しい心遣いを見せることが必要です。メタ認知能力が低い人はこれができないため、能力はあるのに評価が低い可能性があるのです。

 感情的になる人が損をするエピソードは歴史上にも多数みてとれます。我慢強いイメージのあるかの徳川家康でも若いときに怒りにかられ、避けられる戦に打って出てしまったことがあります。その結果手酷い敗北を経験してしまいました。その後悔から臨終の際に遺言で「怒りを敵と思え」と残したと伝えられています。

■メタ認知能力を高める方法

 評価を下げるようなあつれきを生まないために怒らずに過ごすにはメタ認知能力を高める必要があります。『怒らないコツ』には怒りを鎮める方法や、怒りとは無縁な生活をするための知恵が多数掲載されていますが、そのなかからメタ認知能力を高める方法を紹介します。

 怒りを抑えられなくなったときは「紙に書く」ことが有効です。そのときの感情を「腹が立つ」「頭にきた」と書くことで「怒っている自分」を、少し離れた地点から客観的に冷静に眺めることができるのです。書き出すことで自分の中に渦巻いている感情が和らぎ、冷静さを取り戻すことができます。そうすると怒りに振り回され無駄な時間を過ごすのではなく、自分にとって大切な今すべきことに思い当たります。「怒っている暇があったら、まずは、これをやろう」と、これも紙に書き出してみましょう。こうすると怒りの感情は消え、淡々と物事を進めていけるようになる、と述べています。

 またブログやツイッターに向かって吐き出すのも一つの方法です。紙に書くのは苦手でもこれならできるという人は多いのではないでしょうか。しかしその場合でも最後の文章を、ポジティブな言葉で締めくくりましょう。「イライラしないで、前向きに生きていこう」「楽天的なのが、私の取り柄だ、怒るのはやめよう」などといった言葉で締めくくると気持ちが切り替わり、メタ認知能力も高まります。

 植西さんは怒りの感情は人の心から来ると述べています。そして《心のあり方を変えることができれば、ささいなことで怒らないで済むようになります》と説きます。能力がありながら周りから評価されていない、と心当たりのある方は2019年を「怒らない一年」にしてみてはいかがでしょう。周りからの評価が高まることが実感できると思います。

自由国民社
2019年2月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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