『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』池内恵、宇山智彦、川島真、小泉悠、鈴木一人、鶴岡路人、森聡著

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■大学出版会の本が異例の反響

一般に“少部数で高価、作るのも売るのもじっくり”というイメージが強い大学出版会の本。だが、2月のウクライナ戦争勃発から5カ月強で緊急出版された本書は、ソフトカバー装丁と手頃な価格で短期間のうちに4刷。大学出版会の刊行物としては異例の売れ行きを示している。

執筆陣は、東大教員を中心とした地域研究・国際関係分野で日本を代表する一線研究者7人。ロシアを最重要パートナーと位置付けつつ一定の距離を置く中国の事情を読み解く川島真氏、ロシアの強い影響下に置かれながらも複雑な駆け引きを展開してきた中央アジア諸国の動向を占う宇山智彦氏など、日本以外の視点からこの世界史的事件を俯瞰(ふかん)する。

初版2500部から始まり、現在7500部。1万部の大台も視界内だ。同会の阿部俊一さんは「報道はどうしてもウクライナ、ロシアの話ばかりになるが、たとえば米国や中国、アラブ諸国はどう見ているのか。マルチな視点を提示したかった」と話す。

本書は、2年前に創刊されたコンパクトな学術書シリーズ「UP plus」の一冊。大学の持つ研究リソースを、時宜に応じて社会に還元する器として、出版物の可能性をうまく示した形だ。(東京大学出版会・1870円)

磨井慎吾

産経新聞
2022年9月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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