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- 語られざる占領下日本 : 公職追放から「保守本流」へ
- 価格:1,760円(税込)
■戦後政治史の再考迫る注目作
昭和20年8月から約7年続いた占領期。日本は独立国でなく、最高権力は連合国軍総司令部(GHQ)が握っていた。当然、この時期の政治には陰に陽に占領軍が絡んでいる。
その屈辱的な実態を知る関係者たちは多くを語らず、吉田茂や田中角栄ら戦後政治の勝者たちに都合のいい歴史叙述や神話も定着している。本書は気鋭の政治史家が、近年公開された日本側史料を駆使して、謎の多い占領期政治の実像に迫る。
昨年10月の刊行以来、さまざまな媒体で書評が相次ぐなど注目され、1カ月半で増刷も決まった。「硬い政治史の本としては異例の反響」(編集担当者)という。
特に面白いのは、昭和23年秋に起きた「山崎首班事件」の分析だ。第一党の民主自由党を率いる吉田茂の首相指名を嫌ったGHQ民政局が、同党幹事長の山崎猛を擁立しようとした事件だが、GHQの内部対立もあり失敗に終わる。この事件に関し田中角栄が吉田を支えて活躍したとする武勇伝が後に創作され、そこから生まれた「吉田学校」=「保守本流」の田中イメージは、ライバルの福田赳夫から正統性を奪うなど大きな影響を及ぼした。戦後政治史の再考を促す注目作だ。(NHK出版・1760円)
磨井慎吾
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