時代小説になったのは角川社長の一言から! 幕末版:赤毛のアン「お勝手のあん」シリーズ最新作が登場[文庫ベストセラー]

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 12月20日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『小説 すずめの戸締まり』が獲得した。
 第2位は『月の満ち欠け』。第3位は『隠密 鑑定秘禄 二 恩讐』となった。

 4位以下で注目は8位に初登場の『あんの明日 お勝手のあん』。柴田よしきさんによる時代小説シリーズ最新作。。幕末を舞台に、品川宿の旅籠「紅屋」で働く少女・おやすを主人公にした人気の連作だ。おやすは漢字で書くと「安」、そこからシリーズ名が「お勝手のあん」となった。

 柴田さんはインタビューで《私、『赤毛のアン』がとても好きなんです。いつか、この作品をモチーフ小説にして書いてみたいと思っていたので、今回がそのチャンスだと。『赤毛のアン』に貫かれているのは、日常を大切にする、その尊さみたいなものだと感じています。つまりそれは、どう生きるかということ。『お勝手のあん』も一人の少女が、周りの人たちと触れ合いながら日々をどう生き抜き、成長していくのか。その姿を描いていきたいと思っています》と語っており、シリーズ第7作の今巻ではおやすが料理人として成長する姿や恋愛も描かれる。一方で柴田さんは《おやすの日常の向こう側に、幕末のうねりが感じられるような作品にしたいと思っています》とも語っており、背景には幕末に活躍した志士や世の中を揺るがした事件も描かれ、激動の時代に思いを馳せる作品としても楽しめる。

 柴田さんは同作が当初は《ガレット屋さんを舞台にした現代小説になる予定だった》と明かし、時代小説になった理由を《ところが打ち合わせをしていたら、突然、角川春樹社長から「時代小説を書いてくれ」って言われて。驚いて編集者と顔を見合わせました》と告白している。

1位『小説 すずめの戸締まり』新海誠[著](KADOKAWA)

扉の向こうにはすべての時間があった。新海誠自らが綴る原作小説!(KADOKAWAウェブサイトより抜粋)

2位『月の満ち欠け』佐藤正午[作](岩波書店)

あたしは,月のように死んで,生まれ変わる――この七歳の娘が,いまは亡き我が子? いまは亡き妻? いまは亡き恋人? そうでないなら,はたしてこの子は何者なのか? 三人の男と一人の女の,三十余年におよぶ人生,その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく,この数奇なる愛の軌跡.プロフェッショナルの仕事であると選考委員たちを唸らせた第一五七回直木賞受賞作,待望の文庫化.(特別寄稿:伊坂幸太郎)(岩波書店ウェブサイトより)

3位『隠密 鑑定秘禄 二 恩讐』上田秀人[著](徳間書店)

諸国大名の「人事考課」を作成せよ。将軍から前代未聞の密命を下された小人目付の運命は!? 大人気シリーズ、待望の第二弾!(徳間書店ウェブサイトより)

4位『母性』湊かなえ[著](新潮社)

5位『いちねんかん』畠中恵[著](新潮社)

6位『従者 鬼役伝(四)』坂岡真[著](光文社)

7位『りゅうおうのおしごと!17』白鳥士郎[著]西遊棋[監修](SBクリエイティブ)

8位『あんの明日 お勝手のあん』柴田よしき[著](角川春樹事務所)

9位『青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない』鴨志田一[著](KADOKAWA)

10位『かがみの孤城 上』辻村深月[著](ポプラ社)

〈新書ランキング 12月20日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年12月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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