(C)個性心理學研究所
1999年頃に大流行した、あの動物の占い。自分や友人・知人が何の動物か調べては、愛称を確かめて楽しんだ思い出をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
これが本来は占いではなく、統計学を元とした「個性心理学」というものなのだそうで、ビジネスに用いて大成功した人もいるといいます。
株式会社ライフメトリクス代表の辻盛英一氏は、アリコジャパン(現・メットライフ生命保険)のセールスマン時代に、人間の個性(性格) を12の動物キャラクターに当てはめた「個性心理学」を活用し、トップセールスをたたき出したそう。
懐かしの動物を使った個性心理学を、ビジネスや人間関係においてどう活用したのでしょうか。辻森氏が、個性心理学の生みの親である弦本將裕氏(個性心理學研究所所長)との共著『仕事は「個性」で決まる』(あさ出版)で明かした、気になるその手法を見てみましょう。
※以下は『仕事は「個性」で決まる』をもとに再構成したものです。
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- 仕事は「個性」で決まる : 相手の個性に合わせて仕事をすれば、すべてうまくいく
- 価格:1,485円(税込)
個性心理学を営業に応用し、13年連続でトップの成績に
私、辻盛が「個性心理学」と出会ったのは、保険会社に勤めるようになって2年目のことでした。当時の上司から紹介されたのです。「コミュニケーションツールの一つに使ってみようかな」くらいに最初は軽く考えていました。しかしほどなくして、ビジネスの現場で「これは使える」と気づいたのです。
そして、個性心理学を基に、自分とお客様の相性に合わせた保険営業を心がけた結果、数々の表彰やタイトルの獲得につながり、13年連続でトップの成績を収めることができました。
私の活用事例を一つご紹介します。営業の場合、まずはどうしたら席に着いてもらえるかがポイントです。相手のキャラクターが「こじか」や「黒ひょう」の人の場合、何度も繰り返し「聞いてください」と頼むことが有効です 。ところが、「ライオン」や「ペガサス」の人は何度も言われることを嫌います。わざわざアポを取られるのも嫌がるので、「来月の何曜日は空いていますか?」と聞いても、「そんな先のことわからないから、またそのときに電話して」と言われてしまいます。あるいは「面倒だからその場で話して」という感じです。「狼」や「猿」の人に対しては「来月の何日何時 から15分だけいただけますか?」といった具体的なアプローチが正解となります。
そもそも「個性心理学」は何をもとにしているのか?
個性心理学とは、人間の個性を12種の動物に当てはめ、さらに60のキャラクターに分類して心理学として体系化したもの。東洋最古の占学である「四柱推命」、および密教の経典の一つである人間関係の秘法「宿曜経」に基づき、社会心理学的解釈を加えた心理学です。
相手のことが苦手だったとしても、動物キャラクターに置き換えてその人の行動・心理・思考のベクトルやパターンを想定できるため、どう対応すればいいか想像しやすくなり、コミュニケーションの悩みが少なくなるというわけなのです。
実際、たかの友梨ビューティクリニックさんをはじめ、大手美容院チェーンや歯科医院、パチンコ店、ゴルフ場、接骨院、建築会社など、様々なジャンルの企業で積極的に導入されています。導入企業では、お客様や会員が激増するなどの成功例が続出しています。
個性心理学で言う「個性」とは、統計学に基づいた「個性の傾向」のことを言います。必ずしも人間を12や60の個性に限定するといったものではなく、むしろ相手の個性の傾向を知り、その人の個性を理解するためにこそある、人と人との距離を縮める温かい心理学です。だからこそ、導入企業での成功例が生まれるのです。
ゾウは長い時間ゆっくり見守り、チータは褒めまくると良い
(C)個性心理學研究所
現代人の悩みのほとんどは人間関係にまつわることといってもいいでしょう。ビジネスでは、「上司に意見が通らない」「上司に怒られてばかり」「部下が言うことを聞かない」「隣の席に座っている人が苦手」「営業先で相手とうまく話ができない」など悩みの種はつきないものです。
「売上が上がらない」という悩みで考えてみます。売りたい物が売れないのは人間関係がうまくできておらず、相手が買いたいと思うようなコミュニケーションがとれていないから売れないのです。相手が望むコミュニケーションの仕方を理解すれば、相手が「欲しい」と思うようになり、悩みは解決できます。こうした相手とのコミュニケーションのコツを教えてくれるのが、個性心理学です。
たとえば、あなたの部下がスロースターターのキャラクター「ゾウ」である場合、最初はなかなか結果が出ないかもしれません。他の人は2~3カ月で結果が出ても、ゾウは1~2年かかります。ところが、いざ結果が出始めたらずっとトップを走る力を持っているのです。それをわかっていれば、採用して半年くらいで「結果が出ないからダメ」と切ったりしないで、長い目で見てあげられます。あなたの周囲の中々結果が出ない人がもしゾウだったら、これから大きな成果を上げるかもしれません。
また、部下が「チータ」の場合は、褒めまくると成長します。「すごいね」「さすがだね」と褒める度に、どんどん才能を発揮するのです。私の会社でも、いちばんのキーマンだったのがチータでした。飽きっぽくて、ちょっとダメ出しをするとまた別の案を持ってくる、の繰り返しでした。しかし、新しい案を一旦認め、褒めることによってお互いの関係も良くなり、その才能を社内で発揮できるようになったのです。
猿は怒ってあげないと同じ失敗を繰り返す
(C)個性心理學研究所
それぞれの「個性」を知ることで、相手の才能や良い面がわかってきます。特に職場やビジネスにおいて、個性心理学は仕事の悩みの解決やチームのレベルアップに役立ちます。更に活用方法を見てみましょう。
あなたが上司で「黒ひょう」の部下を叱る場合で考えてみましょう。黒ひょうは、人前で怒られるのが許せない性質です。そのため、個別に呼んで、「これでは周りに示しがつかない、お前はみんなの中心人物なのだから気を付けてやってくれ」と言われると、「はい、わかりました」となりますが、みんなの前で叱られると、人前で恥をかかされたと感じます。
一方、「猿」「子守熊(コアラ)」などは、叱られることについて黒ひょうのように嫌いません。猿においては、叱ってあげないと叱られるまで同じことをやり続けます。目的・指示を明確にしてあげると猿はうまく行動できるようになります。このように個性を知ることで、今までストレスになっていた相手の行動も、「この人は『猿』だから、こういうことをするんだな」とわかって、許せるようになっていきます。
飲みに行った場合などには、個性がより如実に出ます。猿は、細かい割り勘でもきちんと割ります。一方、「ライオン」は面倒くさがりで、割り勘にするときも大雑把です。もし誰かが出していないというときは、ライオンの人ではないでしょうか。「お金を出しました?」と聞くと「出したかなー?」と本当に忘れています。でも、「この人は『ライオン』だから」と認識していれば、故意にやっているのではないことがわかって、相手のことが許せるのです。キャラについて、短所だけではなく別の長所があることも知っておけるというのも大きいでしょう。
仕事なのだからきちんと完璧にやってくれないと、と思いがちですが、人間にはそれぞれ個性があり、自分と違う側面があるとわかっていれば、どんな人のことも差別したり、毛嫌いしたりすることなく、心穏やかに付き合えるようになるのです。
苦手な人がいる時、営業の売上が伸び悩んでいる時に
本書では、12種の動物を「SUN」「MOON」「EARTH」と3つのグループに分けて解説しています。この3分類にすることにより、さらに相手に合わせたアプローチへの理解が深まり「個性心理学」をビジネスの場面でも活用しやすくなります。
どうしても苦手な人がいる時、営業の売上が伸び悩んでいる時……。そんな時は、久しぶりにあの動物たちを思い浮かべると、その人が本来持っている長所や魅力に気づくことができるかもしれません。
弦本將裕(つるもと・まさひろ)
個性心理學研究所 所長/(一社)個性心理學研究所総本部 理事長
「磨き上げられたたぬき」
1957年4月29日生まれ。
学習院大学法学部卒業後、明治生命(現・明治安田生命)入社。1997年4月、個性心理學研究所設立。世界で初めて人間の個性を12の動物キャラクターに当てはめた「個性心理學」を発表。著書は65冊。世界14カ国にも展開している。現在は、大手企業をはじめ、病院・学校などで精力的に講演活動を行っている。企業では、「個性心理學」を採用・人事・営業とあらゆる分野で活用。真の「顧客満足度」アップを個性心理學で実現している。
辻盛英一(つじもり・えいいち)
(株)ライフメトリクス 代表取締役
「気どらない黒ひょう」
大阪市立大学経済学部卒業、三井住友銀行を経てアリコジャパン(現・メットライフ生命保険)に入社。銀行、保険ともに数々表彰されタイトルを獲得。TOT会員。現在は法人専門の保険代理店、株式会社ライフメトリクスを経営する傍ら、営業マン向け研修や講演を多数行い成功を手助けしたり、400社超の企業クライアントに業績向上のスキーム提供を行ったりしている。また、某大学の監督を11年間務め、2度のリーグ優勝に導いている。現在も高校野球の指導、ワークライフバランスの重要性を自ら体現している。その人柄から、著名人、芸能人とも多数交流がある。著書に『営業は自分の「特別」を売りなさい』(あさ出版)など。
弦本將裕・辻盛英一
株式会社あさ出版のご案内
あさ出版は、創業者がビジネス書の出版社出身であることから、1991年ビジネス書分野の出版からスタートしましたが、現在では一般書、語学書にまでジャンルを拡大しています。書籍の力を信じ、すべての働く皆様に、「わかりやすくて役に立つ」書籍を、かつ「生きる勇気・働く情熱」を生み出していただける書籍を発行していくこと、これが私たちの使命です。
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