不祥事・不倫・バイトテロ・飲食店テロ・差別・誹謗中傷・ハッシュタグ運動にキャンセルカルチャー…… 毎日のように起こる「炎上」騒動の背景を分析した一冊が話題[新書ベストセラー]

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2月21日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』が獲得した。
第2位は『裁判官の爆笑お言葉集』。第3位は『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』となった。

4位以下で注目は9位にランクインした『炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで』。社会学者の伊藤昌亮さんがSNSやインターネットで起こる“炎上”をとりあげた一冊。炎上が起こる仕組みやその裏にある対立構造、時代状況を分析しながら炎上の持つ意味についても解説している。2022年1月に刊行された新書ながら、にわかに注目を集めている。

2010年代に入りSNSが身近になることで「バイトテロ」騒動が起こり、それを契機に一気に広まった感のある「炎上」という用語。それとともに誹謗中傷やキャンセルカルチャー、ハッシュタグでの抗議運動など、炎上とそれを取り巻く話題は今日では常に身の回りに溢れている状況となった。

伊藤さんは同書の「はじめに」で今日の社会で炎上は特異なものではなく、《あまりにも一般的なというよりも日常的なものとなってしまった》と述べ、炎上は《社会の鏡》であると考察。コロナ禍で起こった騒動や、SNSとの関係性、社会運動としての側面、キャンセルカルチャーの弊害など、様々な炎上ケースと巻き起こった反応をとりあげながら、その裏にある社会と人々の置かれている状況について解きほぐした一冊となっている。

1位『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』堤未果[著](幻冬舎)

「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。(幻冬舎ウェブサイトより)

2位『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝[著](幻冬舎)

「死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きてもらいたい」(死刑判決言い渡しの後で)。裁判官は無味乾燥な判決文を読み上げるだけ、と思っていたら大間違い。ダジャレあり、ツッコミあり、説教あり。スピーディーに一件でも多く判決を出すことが評価される世界で、六法全書を脇におき、出世も顧みず語り始める裁判官がいる。本書は法廷での個性あふれる肉声を集めた本邦初の語録集。これを読めば裁判員になるのも待ち遠しい。(幻冬舎ウェブサイトより)

3位『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ[著]秋田喜美[著](中央公論新社)

日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか?子どもはいかにしてことばを覚えるのか?巨大システムの言語の起源とは?ヒトとAIや動物の違いは?言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。(中央公論新社ウェブサイトより)

4位『知らないと恥をかく世界の大問題14 大衝突の時代-加速する分断』池上彰[著](KADOKAWA)

5位『問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界』エマニュエル・トッド[著]池上彰[著]大野舞[通訳](朝日新聞出版)

6位『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』手嶋龍一[著]佐藤優[著](中央公論新社)

7位『脳の闇』中野信子[著](新潮社)

8位『日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで』磯田道史[著](中央公論新社)

9位『炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで』伊藤昌亮[著](中央公論新社)

10位『80歳の壁』和田秀樹[著](幻冬舎)

〈新書ランキング 6月20日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年6月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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