【話題の本】『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈著 キャラの力で続編も好調

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4月に発表を控える「2024年本屋大賞」にノミネートされている話題のデビュー小説集『成瀬は天下を取りにいく』の続編。1月の刊行で、すでに3刷6万部に達している。

どこか泰然とした口ぶりで、常にわが道を突き進む。そんな主人公、成瀬あかりのとがった魅力は、5編からなる今作でも健在。成瀬に心酔する小学生。京都大を受験する彼女を見守る父親の葛藤。クレーマーをやめたくてもやめられない近所の主婦との出会い…。成瀬は相変わらず予想を超えたとっぴな言動で周囲の人々を動かし、小さなドラマを巻き起こす。

無事大学生となり、地元・大津市の「びわ湖大津観光大使」にも就任した成瀬。最終話では「探さないでください」という意味深長な書き置きを残し、大みそかに突然姿を消す。しかもスマホは自宅に置いたままだから、家族や友人らは右往左往することに…。成瀬の意外な行動とその理由に驚かされ、読後はほんのりと温かな気持ちになる。

閉店する「西武大津店」に焦点を当てた前作同様、今作でも舞台となる滋賀県の地元ネタがたっぷり。出版元によると、作中に出てくる商業施設内の書店ではとくに売れているという。(新潮社・1760円)

海老沢類

産経新聞
2024年2月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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