『日本のことばずかん あじ』
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『日本のことばずかん あじ』神永曉監修
辞典のようで図鑑のような、図鑑のようで辞典のような「日本のことばずかん」シリーズ。その最新刊は「あじ」がテーマだ。
魚へんの漢字や、台所道具の名前の紹介にとどまらず、「とびに油あげをさらわれる」や「いものにえたもごぞんじない」のような食べものにまつわる慣用句から、「のどごし」「歯ごたえ」といった食感や味を表す際の言葉までが載っている。さらには、「雰囲気をかもす」の「かもす」は「醸す」であり、「いいあんばい」の「あんばい」は「塩梅」と書く場合があることにも気づかされる。こう考えると、味にちなんだ言葉は結構多い。
全ての漢字にルビがふってあるなど、小学3年以上を読者として想定しているそうだが、なかなかどうして大人が眺めても楽しめる。監修者は40年以上、辞書編集に携わっている、その世界では有名な辞典編集者。多くの絵や写真とともに、日本語の豊かさを「あじ」わえる一冊だ。(講談社、2750円)(十)