【話題の本】『コミティア魂』同人誌即売会の情熱

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東京ビッグサイトで年4回開催される同人誌即売会、コミティアの40周年を記念して刊行。おたく文化はどのようにしてメジャーになったのか。おたくと関連付ける議論も起きた幼女連続誘拐殺人事件(宮崎事件)の影響は。今や一大ジャンル名となった「ボーイズラブ」という言葉が広まったきっかけは―。発足から現在までの同人誌と漫画界の歴史を、漫画家や編集者らからの聞き取りも交えながらたどる内容が好評だ。

「おたくの祭典」として有名なコミックマーケットのイメージから、同人誌といえば漫画の二次創作が思い浮かぶが、コミティアではオリジナル作品だけを販売。会場には出版社が作品の持ち込みを受け付けるエリアが設けられており、商業誌デビューに至った作家も多い。参加者が作品を介して創作意欲を刺激し合う場の魅力が本書から伝わってくる。

人気漫画『日常』の作者、あらゐけいいち氏による書き下ろし漫画も収録。版元によると、コミティア会場で先行販売し、3月2日に書店で発売。書店からの注文が多く、すぐに増刷が決まった。読者層はコミティア参加者にとどまらず、広がりがあるという。日本が世界に誇るコンテンツ、漫画を生み出す情熱と裾野の広さを感じる。(ばるぼら+あらゐけいいち著、コミティア実行委員会編/フィルムアート社・2200円)

寺田理恵

産経新聞
2024年4月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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