『上石神井さよならレボリューション』
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明文堂書店石川松任店「努力・勤勉型主人公ばかり持て囃すな!」【書店員レビュー】
[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)
父親がプロのカメラマンで、自身もカメラを嗜む設楽洋輔は成績低迷と経済不況の難から逃れるために、眉目秀麗、成績優秀でありながらド変態である岡江和馬と組み、《フェティシズムの捕獲》という名の《盗撮》に手を染めようとしていた。そんな彼の前に突然現れ、被写体となったのは、スポーツ万能の美少女生物部員である川野愛香だった。野鳥を撮るための専属カメラマンとして彼女と行動を共にするようになった設楽は、いくつもの消失の謎に出くわすようになる。
本書は全5篇の連作集のそのすべてに《消失》が絡む、コメディ・タッチのミステリです。明かされる真相は意外すぎて、呆気に取られたもの、強引に感じたものもいくつかあったのですが、この意外な真相が登場人物の心情の揺れ動きと絡み合うことで、「あぁだからこの人は、こういう行動を取ったのかぁ・・・・・・」と不思議と納得させられてしまいます。
コミカルな登場人物たちのやり取りがとても魅力的な、清涼感の残る青春ミステリです。