74歳AV女優、82歳デリヘル嬢…「高齢者風俗嬢」の真実

レビュー

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超熟女好きは変態か?目からウロコのレポート

[レビュアー] 都築響一(編集者)

「貧困女子」という言葉をよく見かけるようになったが、中山美里さんによれば「20年以上も前から女子はみんな貧困だった」。女性が男性と同程度の高収入を得られるのはごく一部の職種だけで、多くの場合は年を取るほど男女の収入格差は開いていく。そんな社会状況の中で、国にも企業にも希望を託せない女性たちが、セックスワークに飛び込んでいくのは当たり前ではないか。

 という前提の上で、『高齢者風俗嬢』ではさまざまな風俗産業で働く高齢女性が紹介されている。74歳のAV女優、82歳のデリヘル嬢、70代の伝説のソープ嬢……しかも! 経験も、飛び込んだ動機もさまざまだが、始めてしまえば思いのほか仕事を楽しめて、「身体が動くかぎり、ここで働こうと思ってるの」と明るく話す、ポジティブな高齢者風俗嬢ばかりだ。

「女」が「老人」になるタイミング、それは「女として見られる喜び」を失う瞬間だ。婦人科医によれば、セックスをし続けている女性は、閉経したあとも女性ホルモンが出続けるし、年を取って恋愛すると(その大多数は不倫ということになるが)、ふたたび出るのだという。

 人生経験を積み、恋愛経験も性愛経験も重ねた包容力のある女性と、話も通じなければ心も通わず、会うたびにお金ばかりが消えていく20代の、でも文句なくきれいな若い子と、あなたならどちらと遊びたい、ともにひとときを過ごしたいと思うだろうか。

 高齢者風俗嬢のお客さんには、80代のおじいちゃんもいれば、息子より若い男の子や、10代の童貞くんもたくさん来るという。それを変態と決めつけてしまうひとに、中山さんはこう説く―「男性が、決して安くはないプレイ料金を支払う対価として求めているのは、見た目のいい女性にヌイてもらうことではなく、優しく癒してくれるエッチな女性とどんな時間を過ごせるか―なのだ」。この言葉に深く頷けない男って、いますか?

新潮社 週刊新潮
2017年1月19日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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