『アッツ島とキスカ島の戦い』将口泰浩著
[レビュアー] 産経新聞社
□『アッツ島とキスカ島の戦い 人道の将、樋口季一郎と木村昌福』将口泰浩著
日米が死闘を繰り広げていた昭和18年、アリューシャン列島の2つの島が命運を分けた。日本軍最初の玉砕の地、アッツ島と米艦隊の包囲をかいくぐり守備隊5200人が完全撤退したキスカ島である。
死か降伏かという絶望的な状況だったキスカ島からの撤退を指揮したのは、「兵器はつくれるが人はつくれない」と言い切る陸軍中将と「兵法の極意は一兵も損せず、相手の殺傷もできるだけ少なくすること」と語る海軍中将。米軍に「パーフェクトゲーム」といわしめた奇跡の撤退の舞台裏で起きていた人間ドラマに迫ったノンフィクション。(海竜社・1600円+税)