拘置所や少年院でも実践!「ゆるせない中毒」から抜け出す方法を教えます

インタビュー

4
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ゆるせない!」がスッキリなくなる方法

『「ゆるせない!」がスッキリなくなる方法』

著者
倉橋 竜哉 [著]
出版社
かんき出版
ISBN
9784761273217
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

拘置所や少年院でも実践!「ゆるせない中毒」から抜け出す方法を教えます

[文] 山岸美夕紀

日本マイブレス協会代表理事の倉橋竜哉
日本マイブレス協会代表理事の倉橋竜哉氏

「あの人のことがゆるせない」「ダメな自分自身がゆるせない」。そんな頑なな「ゆるせない」気持ちを手放すための“ゆるしの呼吸”のメソッドをまとめた本が『「ゆるせない!」がスッキリなくなる方法』です。心と体が整い、人生がみるみる好転するこのメソッドを開発した著者の倉橋竜哉さんにお話しを伺いました。

 ***

――本書は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?

 以前から、「ゆるす」ということに関心があって、いつかそれに関する仕事ができればと思っていました。そんな中、呼吸法を実践されている受講者のみなさんの「顔つきの変化」に、ふと気づいたんです。
 呼吸法ですので、口元や小鼻などに変化が現れたり、新陳代謝が活発になって肌つやが良くなったりするのはわかるのですが、目つきまでもが柔らかく変わっている方が多いのは不思議でした。
 そこで、実際に変化のあったご本人たちにお話しを伺ったところ、「今までゆるせなかったものが、呼吸法を通じて色々とゆるせるようになってきた。それにつれて、顔つきが変わってきたと感じる」とおっしゃるのです。
 私の中にあった「ゆるし」というテーマと呼吸法が、ここで結びついたんですね。そこで、身近な人々と共に「呼吸とゆるし」についての勉強会を開催したところ非常に好評だったので、メソッド化して一般にも公開することになりました。
 それが今、私が主催する日本マイブレス協会で開催している「ブレスプレゼントクラス~ゆるしの章~」です。本書は、この講座をもとにまとめました。

――どのような方に読んでほしいと思いますか?

 身近な人がゆるせない、自分がゆるせないということで苦しんでおられる方はもちろんですが、あらゆる人や物事に対して「ゆるせないことが“気持ちよく”なっている」方にもぜひ読んでいただきたいです。
 たとえば、芸能人の不倫のニュース。不倫自体は社会的にはよくないことですが、他人の不倫で自分の心の平和を乱される必要はありませんよね。それなのに、それを「ゆるせない」と執拗に叩かずにはいられない人がいます。さらに、そういった“ゆるせない”感情を煽るニュースに慣れてくると、逆にそれなしではいられない、まさに中毒状態になってしまうことも。
 そんなゆるせない感情が当たり前、もしくは快感になってしまっている方にも読んでいただければ嬉しいですね。誰かのことを「ゆるせない!」と考えているその時間をご自身のために使えば、きっとプラスになると思いますので。

自分の「ゆるせない診断」を使い、自分の怒りや不安を見える化する
自分の「ゆるせない診断」を使い、自分の怒りや不安を見える化する

――ゆるせないことが“快感になってしまっている”というご指摘は新鮮でした。では、本書で、特に訴えたかったことはなんですか?

 そうですね、『「ゆるさない」ことはあっても「ゆるせない」ことはない』という項目についてです。
“ゆるせない”というと、何か外部の力によってそうさせられているというニュアンスになります。ですが実際は、“ゆるす”か“ゆるさないか”は自分の判断なんですね。
「相手が謝ってくれたらゆるそう」、「時間が経ったらゆるそう」というのでは、そのときがいつ訪れるかわかりませんし、それまでずっと苦しむことになる。そうではなく、「今ここでゆるそう」と自分自身で決めることができるんです。本書がその気づきとなればと思っています。

――特定の相手や事柄に対してではなく、あらゆることに対して怒りやすい、という人にもぴったりですね。

 そうですね、誰もが日常生活の中で何かしらあると思うんです。もちろん私だって、腹が立つこともイライラすることもあります。でも、その感情は自分が手放そうと思えばいつでもそうできるのだとわかってからは、ラクに早く手放すことができるようになりました。

穏やかな語り口の著者・倉橋竜哉氏
穏やかな語り口の著者・倉橋竜哉氏

――“ゆるす”気持ちを持つ手段として、心の持ち方と呼吸法を提唱されています。

 はい、呼吸法というのは、自分とじっくりと向き合い、心をコントロールする方法として禅やヨーガなどで取り組まれています。自分自身の状態に気づくことができると、「ゆるさない」という状態がいかに自分の心と体を苛めているのかということがよくわかります。
 本メソッドでは、まず「ゆるめる呼吸」で心と体をゆるめ、「鎮める呼吸」で心を鎮め、「ゆるしの呼吸」でゆるせないものを手放して心をラクにしていきます。
 長年持ち続けていた感情はすぐには消えないかもしれませんが、長く続けていくうちに、心と体が整っていくことを感じられるでしょう。

――先生のメソッドをまとめるうえで苦労した点などはありましたか?

 体験談をいくつか紹介しています。もちろん本人とは特定できない形で掲載していますが、やはり「ゆるし」というテーマだけにデリケートな部分もお話しいただくので、これを公にすることがはたしてご本人のためになるのだろうか?と悩むこともありました。でも、ある方が「私の体験が役に立つのであれば、その経験も意味があったのだと思えます。ぜひ使ってください」とおっしゃってくださり、背中を押してくれ、掲載に至りました。

――先生は東京拘置所や少年院にも訪問され、受刑者に対して講演をされているのですよね。

 はい。被害に遭われた方に「ゆるせない」思いがあるのは当然だと思うのですが、実際にお話しを聞いた加害者側の方々でも「ゆるせない」思いをそれぞれに抱えているのだと知りました。
 薬物や詐欺などの犯罪に手を染めてしまった方々とお会いしたのですが、「会社がゆるせない」「社会がゆるせない」、あるいは自分の生い立ちの中で「親がゆるせない」という思いが積み重なっていくと、その感情が心のストッパーのようなものを壊してしまうのかなと感じましたね。

――あとがきでは、そんな受刑者の方々からの反響も紹介しています。

 みなさん、私の話を非常に真面目に聞いてくださり、「落ち込んだときやイライラしたときはまず呼吸を意識するようにします」「こういった呼吸法があることを、家族にも教えてあげたいと思いました」など、たくさんの熱い感想を送ってくれました。
 彼らの声を聞くと、彼らが罪を犯してしまった背景には、“環境”も大きな要因であることを感じます。まさに今、そんな境遇にいる子どもたちにゆるしの方法を伝えられたら、犯罪を未然に防ぐ手助けができるのではないかと思っています。

――最後にオススメの本を教えてください。

「ゆるし」について大きな関心を持つきっかけとなったのが、『生かされて』(PHP文庫)という一冊です。民族同士の争いにより大量虐殺が起こった、あのルワンダ虐殺を生き延びた女性が書いた本で、近隣の人に親兄弟を惨殺された彼女が「ゆるし」の境地に至るまでの、非常に考えさせられる実話です。
 もうひとつ、ゆるしの本としてお薦めしたいのが、『アーミッシュの赦し――なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか』(亜紀書房)。
 アーミッシュというのはキリスト教の一派で、集落を作り独自の生活を営んでいることで知られています。2006年に銃乱射事件に巻き込まれ、小さな子どもたちが犠牲になってしまったのですが、自分の子どもを失ったアーミッシュの家族が、「犯人と犯人の家族をゆるします」という声明を掲げたことが大きな話題となりました。
 もちろん、宗教上の理由もあり特殊な例かもしれませんが、人間の中の「ゆるし」の可能性に気づかせてくれる本です。

――貴重なお話をありがとうございました。

【著者プロフィール】
倉橋竜哉(くらはしたつや)
 日本マイブレス協会代表理事。神奈川県出身。同志社大学経済学部卒業。5歳のとき、生まれたばかりの弟が亡くなり、父親から「死ぬということは、息ができなくなることだ。おまえは息ができることに感謝しなさい」と教えられたことをきっかけに呼吸に興味を持つようになる。以来、医療、禅、スピリチュアルなど、あらゆる呼吸法を学習、実践。怒りやイライラの軽減、緊張緩和、集中力、継続力など、「セルフコントロール」と「呼吸」の関係性を研究、これまで学んできた呼吸法を体系化し、「マイブレス式呼吸法」を開発。「日本マイブレス協会」を設立し、呼吸法を生かした、心身を整えて、どんな外的状況においても心がブレない技術を伝え、講師の育成も行っている。
 直接指導を行った「ブレスプレゼンター」と呼ばれる認定講師は100名を超え、全国各地で呼吸法講座を開催している。2014年にはオーストラリア3都市にて呼吸法講座を開催し、高い評価を受ける。以来、「マイブレス式呼吸法」は、日本国内にとどまらず海外でも注目され急速に広がってきている。2017年からは、法務省の依頼により、拘置所や少年院での呼吸法講話も行っている。
 2008年に創刊したメールマガジン「毎日1分!天才のヒント」では、呼吸法のメソッドや頭の使い方などについて配信。現在まで毎朝欠かさず配信しており、購読者数は3万人を超える。著書に『呼吸で心を整える』『呼吸を変えると、人生が良くなる』(フォレスト出版)がある。最新刊は『「ゆるせない!」がスッキリなくなる方法』(かんき出版)。

かんき出版
2018年3月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

かんき出版

  • このエントリーをはてなブックマークに追加