「銭形平次捕物控」の作家で、日本の音楽評論も確立した野村胡堂(こどう)と、26歳で早世も天才歌人として歴史に名を残した石川啄木は岩手・盛岡中学の同窓だった。
胡堂が、1年下の啄木の「おそろしくへたくそな新体詩」に手を入れたのが始まり。バンカラの胡堂とハイカラの啄木。2人の青春はやがて迷走する。
胡堂は一高、東京帝大法科へと進むが中退、啄木は文学で身を立てる夢も挫折を繰り返す。ともに貧乏や病、家族の不幸などに見舞われながら「大輪の花」を咲かせていく。資料などから丹念に追ったその軌跡は読み応えがある。(双葉社・3000円+税)
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2020年3月8日 掲載
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