『出版禁止 いやしの村滞在記』
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長江俊和『出版禁止 いやしの村滞在記』刊行記念対談 「謎」の楽園――作る楽しみ、解く快感
[文] 新潮社
一緒に作品を作りたい
長江 もうすぐね、「世界で一番怖い答え」っていう番組でご一緒させていただくんですよね。
有田 超短い「放送禁止」みたいな映像もありますよね。とはいえ、でもやはり願わくば、新作ですね。「放送禁止」の新作、「出版禁止」の新作。これ、発売前の新刊についての対談なのに、もう次の作品を催促している(笑)。
長江 そうですね、僕は自分の映像や小説を勝手に「禁止シリーズ」って呼んでるんですけど、映像でしかできないことを「放送禁止」で、文章でしかできないことを「出版禁止」で続けていきたいと思ってるんです。
有田 ちゃんと色分けできてていいですよね。
長江 でも何を作ってても、「こんなんじゃ有田さん、納得してくれないかもしれないな」と心配になることはあるんですよ。
有田 そんなにハードル高くないですよ。
長江 有田さんと、その背後にいる「禁止」シリーズ好きな方はどう思うのかな、というのは絶えず気になるし、意識してます。期待に応えられるだろうか、と。
有田 そんなことは気にせず、どんどん作って下さい。僕はただの一般読者、視聴者ですし、「なんだこれ」なんて言うことは絶対にないですから。ただ、売る努力はしますよ、売るというか、布教、広報活動ですね。僕は、長江監督の作ったものをどうやったらもっと広げられるかってことを、いつも考えてますから。
長江 いやもう、本当にありがたいです。
有田 僕自身が楽しむのもありますけど、見ながら「これ、あいつに見せたら喜ぶだろうな」みたいなことばかり考えるようになりました。何なんですかね、いつの間にか、プロデューサー気質になったのかな。
長江 自分の好きなものを、沢山の人に知ってもらいたい、っていう気持ちはありますよね。
有田 もう、「自分が笑い取りたい」とか「自分が演じたい」よりも、「何かいいもの作ってみんなに見せたい」「裏方でいい」みたいな気持ちの方が強くなってるのは確かなんですよね。誰かが喜んでくれればそれでいい、っていうね。
長江 人間が出来ている、としか言いようがないですね。
有田 なんか、あるときからちょっと変わってきてるんですよね。「有田さんが紹介してくれたアレ、めっちゃ面白かったです」って言ってもらえれば、それだけで充分嬉しいなって。
もう監督も五十代で若くないわけですから、今の体力のあるうちに、映像でも小説でも、新作を沢山作って下さい。そして、一緒に何かやらせていただきたい、という夢もあるんです。
長江 本当に、是非なにかやりたいですね。
有田 僕の方から、「こういう企画やりたいんで、手伝って下さい」でも、監督から「有田さん、出て下さい」でも、どっちでもいいので、お互い遠慮なく言い合って、何か作品を作りたい。
長江 できる限り映像と小説の新作を作り続けていきますので、何とかして有田さんとの仕事も実現させたいですね。
有田 アイディアが固まったら、いつでも声かけて下さい。僕は何でもやりますので。
長江 有田さんを主役にしてずっと撮ってるんだけど、当の本人は言われた通りやっているだけで、何が起こっているか全然分からない。編集された映像で初めてどんな話だったか分かる、みたいなことができたら面白そうですね。
有田 いいですねえ。僕は何だか分からないまま、言われるまま演技して、放送で初めて意味が分かる。ファンとしても楽しめるし、一石二鳥ですね。絶対やりましょう。
長江 有田さんに面白がってもらえそうなことを、これからも頑張って考えようと思います。本日は、本当にありがとうございました。
有田 こちらこそ、ありがとうございました。