昭和初期の日本を舞台に、14歳の女中と女性翻訳家の温かな交流を描いた物語。主人公のハナは、翻訳の仕事で忙しい令子の家に住み込んで働くことになる。当時は日本人の生活が急激に変化した時代。西洋家具やガスコンロなど、ハナは初めて見るもの一つ一つに感動を覚えていく。
ハナも令子も何らかの過去を抱えているのだろう。だが、2人のやり取りはほほえましく、安心感ある読み心地はNHKの朝ドラを見ているかのよう。
釜やおひつを使った食事の支度や井戸端での洗濯など、当時の暮らしぶりの丁寧な描写も興味深い。(長田佳奈著/コアミックス・682円)
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2021年11月7日 掲載
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