日本列島の独自性と潜在力に目を向けて「風土こそ資源」と訴えるエッセー。著者は武蔵野美術大教授や広告・デザイン制作会社の社長を務めるデザイナーだ。自然に畏敬の念を抱く日本人の美意識を解説している。
その美意識を具現化する一例として挙げているのが秋田県仙北市にある乳頭温泉郷の「鶴の湯」。「天然の地形に沿うように満ちた青白い湯の景観には人を惹きつけてやまない力がある」という。
世界情勢は目まぐるしく動いているが日本の風土の美点は変わらない。ウェブサイト「低空飛行」で関連動画を見ながら本書を読むのも一興だ。(岩波書店・2530円)
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2022年5月15日 掲載
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