新年にあらたにはじめるなら「小さな行動」がいい、その理由は?

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まずは小さくはじめてみる

『まずは小さくはじめてみる』

著者
大木 浩士 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799110904
発売日
2022/12/13
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

新年にあらたにはじめるなら「小さな行動」がいい、その理由は?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

新しい年がはじまりました。なにかをはじめてみるには最適なタイミングです。そこでご紹介したいのが、『まずは小さくはじめてみる』(大木浩士 著、すばる舎)。著者によれば本書は、「自分らしくなにかをはじめたい」と思う方に向けた“はじめ方のガイドブック”なのだそうです。

「何かをはじめたい」と思われているなら、あなたは今、大切な分岐点に立っています。

これまでと同じ日常を続けていくか。

それとも、現状を変える新たな一歩を踏み出すか。その帰路に立っているのです。

この本を手に取られたということは、おそらく「今の状況を変えたい」と心のどこかで思われているのかもしれません。

大丈夫。今の状況は変えることができます。

ただそのためには、1つの行動のコツを知っておく必要があります。

それは本のタイトルにもあるように、“まずは小さくはじめてみる”というものです。(「はじめに」より)

新たになにかをはじめようとするときには、とかく“大きな一歩”を踏み出そうと考えてしまいがち。その結果、一歩の大きさにたじろぎ、行動をためらってしまうことになるかもしれません。だからこそ最初にはまず、“小さな一歩”を踏み出すべきだという考え方なのです。

できて当たり前の簡単なことからはじめて行動や活動の実績をつくり、それを足がかりに次の行動につなげていく。コツコツと小さく歩みを進め、経験や人脈を増やしながら望む成果にたどり着く。そうした動きが、いまの状況を変えることにつながっていくわけです。

著者自身が、2011年の東日本大震災をきっかけとして、会社で働きながら200以上の個人プロジェクトを形にしてきたという実績の持ち主なのだとか。つまり本書は、そうしたバックグラウンドに基づいて書かれているのです。

そんな本書の第1章「『小さくはじめる』とはどういうことか」に焦点を当て、基本的な考え方を確認してみることにしましょう。

まず0を1にする

叶えたい夢があるのなら、その実現に向け、まずは“小さなゴール”を設定してみる。そして、そのゴールに向かうための“小さな行動”に取り組んでみるのです。

私はこれを「0を1にする取り組み」と呼んでいます。(16〜17ページより)

たとえば本を出すことが夢だったという著者が最初に設定した“小さなゴール”は、「企画書を1枚つくること」だったそうです。どんな人たちに向けて、どんな内容の本を書きたいかを、仮でいいからまとめてみようと考えたというのです。次いで企画書をつくるために行った“小さな行動”は、「ノートを1冊買うこと。

これが本を出すために行った、私の「0を1にする取り組み」になります。

もしかすると、「え、そんなこと?」と思われるかもしれません。

しかしこの小さな行為が“初動”となり、私は企画書づくりへの歩みをはじめることができました。

そして約1年後、この本を出版することができたのです。(17〜18ページより)

もちろん本を出せたのは、さまざまな要因があったからでしょう。しかし、ノートを買うという“小さな行動”を起こさなければ夢を実現できなかったことも事実。

「0を0」のままにせず、「0を1」にすることができたからこそ、それが結果につながったのです。

大切なのは、思い立ったその瞬間に、小さく動きをつくることです。望む成果に向けて、小さな一歩を踏み出すことです。

今という瞬間を、私はとても大切だと考えています。

それは、「人に意思決定と行動の自由が与えられているのは、今という瞬間だけ」だと考えているからです。(19〜20ページより)

いま、この瞬間にだけ決めることができるし、行動することができる。だからこそ、まずは小さく動いてみるべきだということ。100のことを実現したいなら、まずは「0を1にすること」に意識を向けるべき。そこから、すべてがはじまるわけです。(22ページより)

「できて当たり前の目標」を設定する

実現したいことに向けて新たな行動を起こす際、著者は「できて当たり前のことから動いてみる」ことを意識するそうです。

ハードルを思い切り下げ、「こんなに簡単なら、できて当たり前」だと感じられるものを、最初の目標として設定するということ。そしてできるだけ早く“小さな行動の実績”をつくるようにしているそう。

では、どんなことを“小さく簡単”ととらえればよいのか。それは、「頭の中に実現と達成のイメージが浮かぶこと」になります。(23ページより)

本を出したいと思ったとき、著者がまず「ノートを1冊買うこと」を目標に設定したことがいい例です。たしかにそれなら頭のなかに、“実現と達成のイメージ”を鮮明に浮かべることができるはず。同じく著者にとっては、「企画書を1枚書く」ことも“実現と達成のイメージ”が持てるものだったといいます。

なお、できて当たり前の目標設定には、なんらかの“楽しさ”があるとよりよいようです。いうまでもなく、楽しさが行動の動悸につながるから。

私は2014年ごろ、「栃木県出身者が東京で集うコミュニティ」を発起人として立ち上げました。そしてイベントや食事会など、たくさんの催しを企画し開催してきました。

この取り組みをはじめる際に最初に設定した目標は、「小さな飲み会の開催」でした。

飲み会なら、気軽に楽しく初動をつくることができます。人も集めやすくなります。

まずは出身者の知り合いに声をかけ、4人で開催。

ふるさと話に花が咲き、とても楽しい時間になりました。

次は参加者を増やして8人で開催。話はさらに盛り上がり、「もっと多くの出身者で集まれないか」と、妄想やアイデアが広がっていきました。

この時の参加者がコアメンバーとなり、その後100人規模の大きなイベントの開催へとつながりました。(25ページより)

このように目標や楽しさがあると、ワクワクした気持ちで最初の動きをつくることができるわけです。

行動のハードルが下がり、小さな実績が生まれやすくなるということ。もちろんそれは飲み会の話だけではなく、仕事などにもあてはまることでしょう。(22ページより)

簡単にできることから小さくはじめてみれば、少しずつ世界が代わりはじめると著者はいいます。

なぜなら、そこから自分との向き合い方や人とのつながり方が変わりはじめ、さまざまな影響力が増えていくものだから。本書を参考にしながら、新しい年のスタートに合わせ、なにかを小さくはじめてみてはいかがでしょうか?

Source: すばる舎

メディアジーン lifehacker
2023年1月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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