しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」

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  • 少女七竈と七人の可愛そうな大人
  • 冷たい校舎の時は止まる(上)
  • 霧越邸殺人事件<完全改訂版>(上)
  • 白銀ジャック
  • 大雪物語

書籍情報:JPO出版情報登録センター
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しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」

[レビュアー] カドブン

布団から出るのが億劫になるくらい、寒い日が続きますね。先日の寒波の影響で、都心でも初雪が観測されたようです。

天候を表す言葉にとどまらず、それぞれにとって特別な意味を持つ「雪」。みなさんが雪と聞いて思い浮かべるのはどのような出来事でしょうか? スキーやスノーボードといったウィンタースポーツや、雪が積もった日の雪合戦など、冬ならではの楽しい出来事かもしれません。毎年義務のように課せられる雪かきや、動かなくなってしまう交通機関などの、苦い記憶を思い浮かべる人もいるかもしれません。美しく輝く一方で、残酷な一面も持ち合わせているのが雪だと言えるでしょう。

そんな現実と同じように、小説に登場する雪も様々な側面を持っています。ある時は、人と人との距離を縮めるようなロマンティックなものとして、ある時は外と隔絶された孤独な世界を作り出す壁として、またある時は死と隣り合わせの恐ろしい災害として……。美しさ、儚さ、冷たさ、残酷さ。表情を変えながら、雪はしんしんと物語の中に降り積もります。

今回は、雪を描いたおすすめの作品を5つ、ご紹介します。雪が様々に輝き、作用する小説の世界へ、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

■寒い季節だからこそ読んでほしい。「雪小説5選」

■桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』(角川文庫刊)

しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」
しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」

純情と憤怒の美少女、川村七竈、十七歳。

いんらんの母から生まれた少女、七竈は自らの美しさを呪い、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友に、孤高の日々をおくるが――。直木賞作家のブレイクポイントとなった、こよなくせつない青春小説。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/200809000379/

■辻村深月『冷たい校舎の時は止まる(上)』(講談社文庫刊)

しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」
しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」

閉じ込められた8人の高校生――雪はまだ降り止まない
「ねえ、どうして忘れたの?」

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――。第31回メフィスト賞受賞作。

(あらすじ:講談社オフィシャルHPより引用)

■綾辻行人『霧越邸殺人事件<完全改訂版>(上)』(角川文庫刊)

しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」
しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」

『Another』の綾辻行人、もうひとつの代表作。〈完全改訂版〉刊行!

信州の山中に建つ謎の洋館「霧越邸」。訪れた劇団「暗色天幕」の一行を迎える怪しい住人たち。邸内で発生する不可思議な現象の数々…。閉ざされた“吹雪の山荘”でやがて、美しき連続殺人劇の幕が上がる!

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321208000020/

■東野圭吾『白銀ジャック』(実業之日本社文庫刊)

しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」

ゲレンデの下に爆弾が埋まっている――

「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス!

(あらすじ:実業之日本社オフィシャルHPより引用)

■藤田宜永『大雪物語』(講談社文庫刊)

しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」
しんしんと、冷たく、降り積もる。「雪小説5選」

第51回吉川英治文学賞受賞作

ある冬、N県K町が観測史上初の99センチという豪雪に見舞われる。町民をはじめ観光客、仕事のため車でK町に訪れた人々は、駅や車中など長時間足止めを余儀なくされた。町、県、国レベルの除雪作業も追いつかず、町の深刻な状況から災害救助法が適用され、自衛隊の派遣も要請される。そんな非日常のさなか、紡がれる6つのストーリー。避難所を設ける花屋、車に閉じ込められた人たちの救済支援にあたる自衛隊員、独居老人を救った青年の過去など、雪は冷たいからこそ、より一層心の温もりを感じられる短編作品集。

(あらすじ:講談社オフィシャルHPより引用)

KADOKAWA カドブン
2023年02月09日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

KADOKAWA

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