「職場の嫌な人」7タイプのさまざまな攻撃から身を守る基本の3ステップ

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職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術

『職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』

著者
後藤 千絵 [著]
出版社
三笠書房
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784837929321
発売日
2023/03/09
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「職場の嫌な人」7タイプのさまざまな攻撃から身を守る基本の3ステップ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術』(後藤千絵 著、三笠書房)の著者は、おもに離婚や相続などの家事案件を中心として活動しているという弁護士。ここ最近は、“職場の嫌な人”に対する悩みが急増していることが気になっているのだそうです。

「身に覚えのない難癖をつけられた」「指導を装って、上司がネチネチと嫌味を口にする」「人格否定ともとれることばで侮辱された」など、上司、先輩、同僚、後輩と、立場も年齢も異なる嫌な人たちからの攻撃を受けながらも、なす術がなく黙って耐えている人が増えているというのです。

かつて職場の嫌な人に悩んだ経験のある著者は、感情を抑え、なにもいい返さない人の気持ちもわかるといいます。しかし、だからこそ「嫌な人の理不尽な攻撃を黙って耐えるメリットなどないのだから、我慢するのは金輪際やめましょう」とアドバイスしたいのだとか。

だとすれば「実際にどうするべきか」を知りたいところですが、そこで本書ではその方法をまとめているわけです。

私の経験上、職場の嫌な人は、おおむね7つのタイプに分類することができます。

1、「自己正当化」タイプ。2、「自己中」タイプ。3、「かまってちゃん」タイプ。

4、「八つ当たり」タイプ。5、「完璧主義者」タイプ。6、「嫉妬メラメラ」タイプ。

7、「サディスト」タイプ。

この7つのタイプの特徴を知ることが、職場の嫌な人から自分を守る基本です。彼ら彼女らの特徴がわかれば、対策を立てるのは簡単。もう恐れる必要はありません。(「はじめに」より)

こうした考え方をもとに基本を身につけ、以後はさまざまなケースに有効な「言葉の護身術」を紹介した構成。きょうはそのなかから、2章「職場の嫌な人に絶対負けない『心』のつくり方」に焦点を当ててみたいと思います。

とっさのときは「大きく深呼吸」

なんの前触れもなく、いきなり上司から叱責されたというような経験は誰にでもあるのではないでしょうか? そんなときには、事情が飲み込めないまま反射的に謝ってしまったりしてしまうかもしれません。しかし著者によれば、そういうときは焦ってやみくもに行動すべきではないようです。

たしかに相手から不意打ち攻撃をされると、驚きのあまり心臓が高鳴ってなにも考えられなくなるもの。頭に血が上り、顔が紅潮し、冷や汗が出て、脈拍も上がるかもしれません。そのため自分で自分をコントロールできなくなり、なにかいおうとしても上ずった声しか出なくなってしまうわけです。

そんな時、真っ先にやるべきことは、ずばり「大きく深呼吸する」こと。

パニックになり、視野が狭くなっている自分を落ち着かせるのです。

深呼吸をするうちに、脳に十分な酸素が送られ、徐々にパニックがおさまっていきます。すると、脳が働き始め、気持ちが落ち着いていくのです。

脳が働き始めて、やっと相手からの攻撃に対し、どのように対応すべきかを考えることができます。(65〜66ページより)

なお、落ち着くまでに何分かかろうと問題なし。相手がなにをいおうが、自分の深呼吸の音だけに集中し、自分の呼吸を整えることにベストを尽くすことが大切だということです。そしてその間は、一切ことばを発することなく、沈黙を貫くことも重要。慌てている状態でことばを発したところで、なんのメリットも生まれないからです。

たとえ相手がまくし立ててきても、決して応じず、「沈黙+深呼吸」を死守してこそ、相手に対峙する準備が整うということ。したがって、「まずは深呼吸」というひとことを記憶にとどめておく必要があるようです。(64ページより)

「心のバリア」をつくる

「心のバリア」をつくれば、嫌な人の攻撃から自分を守ることが可能。自分の周囲に見えない壁を築くことで、「他人の言動に左右されない自分」をつくるわけです。ただし、それは「人間関係をシャットアウトする」という意味ではなく、やり方は次のようになるようです。

まず「自分は他人の言動には左右されない」と決めてしまいます。

そして、「見えないバリアが体全体を覆い守ってくれている」「バリアの中にいたら安全だ」とイメージをするのです。

毎朝、このイメージを思い浮かべながら「自分は他人の言動には左右されない!」と宣言するとなおいいでしょう。

その後は、いつも通り朗らかに他人に接すればいいのです。(71ページより)

他人を一切排除するのではなく、他人がなにをいおうと「気にしない」「期待もしない」ことが大切だという考え方。そうすれば、「なにがあっても傷つかない心」をつくることができるわけです。(70ページより)

嫌な人を「気にしない練習」

職場で嫌味をいわれたり、嫌がらせを受けたりしたら、誰でも落ち込むもの。ましてやそれが日常化したとしたら、会社に行くのも嫌になってしまうかもしれません。でも、そんなときには、「まったく気にしていない自分を演じる」ことが有効だといいます。

例を見てみましょう。

Fさんは、突然、同じ課の先輩Gさんから目の敵にされるようになりました。

以前はかわいがってくれていたのに、ある日を境にGさんはFさんを完全に無視し、同じ課のほかの女性社員もGさんに追随して、Fさんを無視し始めたのです。

Fさんは理由がわからずに、途方にくれてしまいました。一時は夜も眠れないほど、悩んだといいます。

ところが、Gさんが機嫌を損ねた原因は、社内の男性をめぐるGさんの嫉妬によるものだとわかり、Fさんは真剣に悩んでいた自分がバカらしくなったそうです。

その後にFさんの取った方法が秀逸です。無視されても、まったく気にしないそぶりをし続けたのです。

しばらくすると、Gさんたちの嫌がらせがピタッと止んだそうです。(76〜77ページより)

嫌がらせをする人は、相手がダメージを受けているのを見て喜び、ますますエスカレートする傾向があるもの。そのため嫌がらせをされても反応せずにいれば、肩透かしをくった相手は行き場を失うことになるわけです。だから、「全く気にしていない自分」を演じる方法は効果的だということ。

なお、まったく気にしていないそぶりをするのが難しい場合は、「正しい姿勢をとる」だけでも効果があるそうです。(76ページより)

著者いわく、「言葉の護身術」の極意はムダに「反応しない」、ムダに「争わない」ことだそう。それは、相手と正面からぶつかるのではなく、相手の攻撃を「かわす、受け流す、ときに利用する」合理的な方法だといいます。“職場の嫌な人”に悩んでいるのなら、参考にしてみるべきかもしれません。

Source: 三笠書房

メディアジーン lifehacker
2023年3月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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