『ラテンアメリカン・ラプソディ』野谷文昭著

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

ラテンアメリカン・ラプソディ

『ラテンアメリカン・ラプソディ』

著者
野谷文昭 [著]
出版社
五柳書院
ISBN
9784901646406
発売日
2023/01/30
価格
3,630円(税込)

『ラテンアメリカン・ラプソディ』野谷文昭著

[レビュアー] 産経新聞社

ラテンアメリカ文学の翻訳を数多く手掛ける著者によるエッセーや批評を収める。文学作品にとどまらず映像作品も論じている。

コロンビア出身のガルシア=マルケスの『予告された殺人の記録』で描かれる「宿命」と共同体の集合的意識の関係。ペルーのバルガス=リョサが『ケルト人の夢』で紡いだ植民地主義との戦い…。これらの作品に、欧米への対抗心、敗北を恐れない勇気を読み取る著者は「生を感じさせ、パワーがある。それでいて繊細で、微かな憂いに満ち、そして何より面白い」とつづっている。混沌(こんとん)と熱に彩られた文学、文化の深みを堪能できる。(五柳書院・3630円)

産経新聞
2023年4月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク