自分の人生を決めているのは「自分以外」であり、それは自分でつくり変えることができる!

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それでも今の居場所でいいですか?

『それでも今の居場所でいいですか?』

著者
蓮村 俊彰 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799111475
発売日
2023/07/07
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

自分の人生を決めているのは「自分以外」であり、それは自分でつくり変えることができる!

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

私たちは幸せになるために、あるいは不幸にならないために、さまざまな努力をしているものです。ところがなかなか報われず、いろいろな不安感から逃れることができないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それでも今の居場所でいいですか?』(蓮村俊彰 著、すばる舎)の著者によれば、それは「自分の人生で起きるさまざまな出来事は自分のせい」だと思い込んでいるからだそう。

「他人のせいにするな」「自分に起きたことの責任は自分でとれ」などといわれる機会も少なくないだけに、人はなにかあるとすぐ「自分はどこで間違ったのだろう」と考えがち。しかし、それはまったくの間違いだというのです。

あなたが人生について感じていることすべては、ほぼ「あなた以外」が決めています。(中略)

では、「あなた以外」の中身とはなんなのか?

それは、「あなたを取り巻いている、誰とは言えない周りの人たちと、それらが存在している空間」です。あなたが親兄弟姉妹やパートナーとつくる家庭という空間や、教師・同級生や上司・同僚とつくる学校や職場といった空間を思い浮かべてもらえればよいでしょう。

“居場所”と言い換えてもいいかもしれません。

本書では、これらを「あなた界隈」と呼びます。(「はじめに」より)

この「あなた界隈」は、生きるうえでとても重要なものなのだと著者。それは、自分自身が選びとってきたと思い込んでいる生き方、すなわち価値観・人生観・幸福感などの「物差し」に絶大な影響を与えているというのです。

そして、「あなた界隈」が良しとする「幸せな人生」と、今のあなた自身の生活との間にギャップがあるとき、あなたは“不幸”となります。(中略)

だとすれば、どうすれば良いのでしょうか?

幸い「あなた界隈」は変えることができます。存在を認識し、乗りこなし、またはつくり変えることによって、あなたの理想と現実のギャップをなくすことが可能です。(「はじめに」より)

そのための具体的な方法を明かした本書の第2章「在り方・生き方も『あなた以外』で決まる」のなかから、きょうは「お金さえあれば幸せか?」というトピックに焦点を当ててみたいと思います。

環境が金銭感覚をつくる

現代社会において「幸せ」を語ろうとするなら、「お金」の話を避けることはなかなか難しいもの。そして、とかく「お金さえあれば幸せ」という考えに陥ってしまいがちでもあります。

もちろんお金が不足すれば困ることになりますから、あながち間違いではないかもしれません。けれども、お金だけあれば幸せになれるかといえば、決してそうではないはず。

そして、いわば「幸せの器」であるお金の部分についても、「界隈」が大きく影響しているようです。

まず、ここで影響を与えてくれるのは生まれ育った家庭環境や地域だそう。生活水準や所得水準の基準は、親や地元の雰囲気が基盤になっているというのです。その一方、おしゃれなファッション誌やトレンド誌を毎号購読したり、著名インフルエンサーのSNSをフォローしたりして常に眺めていれば、知らず知らずのうちに「界隈」に染まっていく可能性も。

華やかなスマホの場面と自らの生活にギャップがあると、その不協和音が欠乏感や不全感の源になっていくということなのでしょう。(48ページより)

「無料の情報」はだいたい広告

だとすれば、そういった「幸せの器」を不都合な方向に歪めるものとは、どう向き合っていけばいいのでしょうか?

方法がひとつあります。

少々極端ですが、「無料の情報源」になんとなく接するのを止めることです。(49〜50ページより)

テレビやYouTube、TikTokなどがそうであるように、世の中の無料の情報源のほぼすべては広告ビジネスで成り立っています。そして多くの場合、広告は受け手である私たちが持つなんらかの夢や希望、欲望や羨望、嫉妬心や不安感などに訴えかけてモノやサービスを買わせようとします。

もちろんそれ自体が悪いことではないでしょうし、人の向上心や野心を刺激し、社会へ活力を与える効果もあるかもしれません。しかし、もしもこちらが現在の日常生活に満足して充分な幸せを感じていたのだとしたら、新しくなにかのためにお金を使う必要はまったくないはず。

つまり広告は本質的に、消費者の日常に対して問題提起をしてみたり、夢や憧れとなるものを見せつけて現場への不満を煽ったりして、幸福感を下げる作用を持っているとも考えられるのです。だとすれば私たちは、そのことを忘れるべきではないでしょう。(49ページより)

「キラキラ感」の前では立ち止まる

ちなみに広告代理店に勤めていたことがある著者によると、「自分はそんなミエミエの広告には騙されない、大丈夫!」と思っている人ほど要注意であるようです。

なによりGoogle、YouTube、Facebook、Twitter、TikTokといったサービスを運営する企業はすべて広告会社です。高額な給料を提示することで人類最高峰の頭脳を世界中から集め、最先端技術を惜しみなく広告に投入しているのです。

あなたは何を根拠に、世界最高峰の頭脳に決して騙されない、と言えるのでしょうか?

もっとも、現代社会では避けられない広告も多々あります。そういうものは「これは広告だ」と心を自衛しながら聞き流しましょう。

そうして、広告要素を含んだ一切から自分の心を切り離したその先に、「こうなりたい」「こういう生活を送りたい」と心の底から湧き上がってきたり、自ずと「そうなっていた」生活の景色が、あなたの「本当の幸い」につながる生活風景です。(51〜52ページより)

だからこそ、画面や紙面の向こうの光景が、いまの自分とくらべて妙にキラキラして見えたら赤信号。そのことを忘れるべきではないと著者は主張するのです。(51ページより)

自分の人生を決めているのは「自分以外」であり、それはつくり変えることができる。著者のそんな主張と、それに基づくメソッドを取り入れてみれば、生きることがいまより楽になるかもしれません。

Source: すばる舎

メディアジーン lifehacker
2023年7月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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