自分のキャパシティを超えて働きすぎてしまう人へ教えたい!キャリアの描き方と正しい休み方

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自分のキャパシティを超えて働きすぎてしまう人へ教えたい!キャリアの描き方と正しい休み方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

図解 「いいキャリア」の育て方  「5つの資」から考える人生戦略』(青田 努 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者によれば、キャリアは「(1)資格」→「(2)資源×(3)資質」→「(4)資本」→「(5)資産」という捉え方をすることができるのだそうです。

多くの人にとって働く上での最終ゴールになりうる「(5)資産」。これを手に入れるために、一般的にはそのスタート地点に立つための「(1)資格」を得るところからキャリアは始まります。

そして、体力や時間など時限的なリソースである「②資源」に自分の「③資質」をかけ合わせながら仕事に取り組み、自分の強みである「④資本」に変換させていき、最終的に「⑤資産」を得る。(「はじめに キャリアにおける『5つの資』」より)

こうした流れになるということ。そこで本書では、これら①〜⑤について詳しく解説しているわけです。

具体的には第1章「資格」で「自身のキャリア選択(就職・転職など)」について考え、第2章「資源」では「資本のもととなる時限的なリソース」に言及。第3章「資質」では「資源を最大限に活かすための自身の持ち味」について触れ、第4章「資本」においては、「資産を得ていくために必要な強み」について考え、第5章「資産」では「働く理由となりうる価値」を考察。

そして最後の第6章では、(1)〜(5)に沿ってキャリアを育てていくうえで意識しておきたい「キャリアとの向き合い方」を紹介しているのです。

つまりキャリアというものを段階的に、そして簡潔に理解できる構造になっているということ。

きょうは第2章「資源 資本の元となる時限的リソース」のなかから、「仕事に使える時間」に焦点を当ててみたいと思います。

仕事に使える時間は限られている

たとえば結婚すればパートナーとの時間が増え、子どもが生まれれば家族との時間が増えていくことになるでしょう。また、自身の体力が衰えてくれば療養や休息に必要な時間が増え、親族の介護が必要になれば仕事ばかりに集中していられなくなる可能性もあります。

そんなところからもわかるように、人生はいろいろな事情が積み重なっていくもの。仕事に全力投球したかったとしても、それが許される時間は意外と限られているということです。そのため、「比較的自由が効く期間のうちに、いかに資本を身につけられるか」がキャリアにおいて重要なテーマとなるわけです。

ただし、時間が限られているからといって、自分のキャパシティを無視してまで仕事にコミットすればいいというものではないはず。キャパオーバーしてしまうと、自分を自分らしく保てなくなるからです。

そういう意味でも、自分を自分らしく保ちながらパフォーマンスを発揮するためには休息が不可欠。がんばりたい気持ちが高まっている状態のときは、「なにかしなければ」と予定を詰め込んで安心したくなったりもするものですが、職場での経験や行動から学んだことを咀嚼するためには、どこかで「休む」必要があるのです。

その際に大切なのは、「予定がないから休む」ではなく、「休むという予定を入れる」という考え方。倒れてから休むのではなく、倒れる前に休むことが重要だということです。(46ページより)

キャパには4種類ある

キャパシティには、「①心のキャパ」「②体力のキャパ」「③能力のキャパ」「④時間のキャパ」の4種類があります。

そして、何よりも大切なことは「4種類のキャパシティの、ボトム(一番小さいもの)に合わせる」こと、これに尽きます。

基本的には、「①心>②体力>③能力>④時間」の順に重視する必要があります。(47ページより)

まず、なにより大切なのは「(1)心のキャパ」。この部分があふれてしまうと、いろいろ大変なことになってしまうからです。そこで、心がいっぱいいっぱいになっているときは、他のキャパに余裕があったとしても、心をしっかり休めることを最優先すべき。

次は「(2)体力のキャパ」。時間が空いていたとしても、体力的に無理が生じてしまうような予定を入れるべきではないということです。健康は、ひとたび損ねてしまうと、もとに戻りづらいこともあるもの。休めば回復するというレベルであればいいかもしれませんが、度を超えると回復が長引くようになってしまうわけです。

また、心と体に余裕があっても、「(3)能力のキャパ」を超えてしまうと処理が追いつかなくなってしまいます。そうなると、パフォーマンスが悪化してしまうだけ。

もちろん、「ギリギリの状況のなかで挑戦してこそ成長できる」という考え方も間違いではないでしょう。しかし、すべての人がエリートアスリートのような価値観のもとで働くのは無理のあること。なによりアスリートにならなくとも、人は幸せに生きることができるのです。

勇気を持って仕事を断ったり、周囲の助けを借りたりして、自分だけでどうにかしないようにしましょう。これは慣れないうちは恥ずかしく、屈辱的に思うかもしれませんが、結果的には組織と自分自身にとって良い結果になることが多いように思えます。(49ページより)

したがって、「(4)時間のキャパ」ギリギリまで予定を入れていいのは、(1)心、(2)体力、(3)能力に余裕があるときだけ。ちなみに自分のキャパシティの限界は、この4種類のうち自分がいちばん弱いものになるそう。そのため、そこに合わせることが大切であるわけです。

もし④時間が空いていたとしても、①心②体力③能力のうちどれかが悲鳴を上げていたら、ちゃんと「休むという予定」を入れましょう。(49ページより)

それでももし「休む」ことに罪悪感や抵抗があるのなら、「エネルギーチャージ」「セルフメンテナンス」「コンディション調整」といったことばに置き換えてみるとうまくいくようです。

なお④時間の残りキャパは見えやすいですが、その一方、①心②体力③能力の残りキャパは見えづらいものでもあります。だからこそ、自分の内面の声に耳をすませ、自分を大切にしてあげてほしいと著者は述べています。(47ページより)

著者がここで伝えようとしているのは、停滞感や迷いを抱いているときのヒントになるような考え方。そのため、いままさに直面している悩みがある方は、気になるところから読んでみることも可能。自身のキャリアを見つめなおし、そこから将来へのよりよい道筋を見つけるために、参考にしてみる価値は大いにありそうです。

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2023年7月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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